目指せ“KID”量産-。戦極は15日、若手育成部門を立ち上げたことを発表。第1弾として7月のレスリング世界学生選手権フリースタイル60キロ級優勝の大沢茂樹(山梨学院大4年)と、07年レスリング世界選手権ベネズエラ代表のマキシモ・ブランコ(24)を戦極育成選手として契約した。旗揚げ当初の理念に従い、レスリングから総合格闘技のスターに駆け上がった山本“KID”徳郁(31=KRAZY

 BEE)に続く選手を育てる計画だ。

 育成選手として契約した2人はまさに金の卵だった。大沢は、KIDの大学の後輩で北京五輪出場まであと1歩と迫った逸材。ブランコも日大時代に全日本学生レスリング選手権フリースタイル74キロ級優勝の実力者だ。国保尊弘広報は「潜在能力があって、総合格闘技に興味のある選手にチャンスを与える場を提供したかった」と育成部門立ち上げの目的を説明した。

 待遇面は充実している。過去の戦極参戦選手の所属ジムなど、コネクションを生かしたトレーニング場所の確保と紹介。海外のジムへの派遣。住居の提供など、費用面もサポートする。また、実戦経験を積ませるため、修斗、ケージ・フォース、パンクラスなどの大会に参戦させ、将来の戦極リングを充実させる構想だ。

 公式サイトでは活動状況を動画で配信するなど、PR活動も積極的に行う予定。大沢は「オファーを受けてうれしい。レスリングで培ったものを生かしたい」と目を輝かせた。

 人数枠は設けていない。関係者によればレスリング選手を中心に、北京五輪出場選手に10人ほどの候補がいるという。母体となる日本総合格闘技協会関係者が五輪を視察し、スカウト活動も行う予定だ。

 下地のしっかりしたアスリートの大量獲得で、第2のKIDを量産する態勢を築きつつある。北京五輪をきっかけに、旗揚げの理念である総合格闘技の底辺拡大に向け、戦極が大きな1歩を踏み出した。【塩谷正人】