<ノア:東京大会>◇1日◇日本武道館

 ノアの秋山準(39)が、GHCヘビー級王者佐々木健介(42=健介オフィス)を撃破し、約2年半ぶりに同王座に返り咲いた。今月いっぱいで打ち切られる日本テレビ系「プロレス・ノア中継」(日曜深夜)の最後の収録となった大会で、王者のパワーに苦しみながら22分46秒、新技の変形スターネスダストから片エビ固めで仕留めた。「もう1度、放送されるように頑張る」。国内メジャー団体の王者としてプロレスの存在感を示し、地上波の全国放送復活を目指す。

 秋山が佐々木のラリアット、ストラングルホールドなどに耐え抜いて反撃に出た。20分過ぎ、佐々木の北斗ボムを返すと、とどめを刺しにきたラリアットにカウンターのジャンピングニーで形勢逆転。最後は「無我夢中で落とした」という新技の変形スターネスダスト。逆転勝利に「佐々木さんはがんじょうだった」と、興奮気味に振り返った。

 昨年12月の同王座挑戦者決定戦で森嶋猛(30)を撃破し挑戦が決定。「負ければ最後のタイトル戦」と予告し、退路を断った。長期戦を覚悟して連日、約1時間のランニングで約5キロ体重を減らした。先月下旬、インフルエンザにかかった12歳の娘と接触を避け、自宅でマスクをして体調管理。「テレビ中継最後の王者が、他団体の選手じゃかっこ悪い」と、団体の看板を背負い、リングに立った。

 自律神経障害と格闘している。27歳で発症し、狭い部屋や、風呂場などで突然、動悸(どうき)や息切れに苦しめられるという。試合中に発症し、わざと場外に落ちてリング下に頭を入れてしのいだこともある。症状は和らいだが、まだ薬は手放せない。4月からは帝京平成大で講師として、自律神経障害について講義を担当する予定だ。

 全日本時代を含めて55年間続いた日本テレビのプロレス放送が3月で終わる。「コンテンツとしての強みがなくなったことに責任を感じる。厄年だけど、役に立つ年にしたい。もう1度放送されるように頑張る」。秋山は地上波での全国放送復活という難関にも挑もうとしている。【塩谷正人】