20日に東京・後楽園ホールで行われたプロボクシングの全日本新人王決勝戦で、スーパーライト級の菊地祐輔(21=新日本仙台)が竹内則雄(24=大一スペースK)を3回1分46秒TKOで下して新人王に輝いた。北日本協会所属ジムとしては97年ライト級の木村登勇(八戸帝拳)以来12年ぶり、創設12年目の同ジムから初の新人王は「地方のジムでも、できると証明できた」としみじみ語った。

 菊地は聖和学園高(宮城)2年で「体を鍛えたい」とボクシングを始め、3年の総体で16強入りした。関東の名門ジムで才能を開花させる選択肢もあったが、卒業後は「地方でも上に行けると証明したかった」。仙台から頂点を目指すと決めたが、道のりは平たんではなかった。同ジムのプロライセンス所持者はたった5人。菊地はコンビニで週5日アルバイトをしながら練習を本格化させたが、相手不足は否めなかった。だが、北日本協会が約2年前から3カ月に1回のスパーリング大会を実施。実戦不足を補いつつ、ミット打ちでの反復練習に明け暮れた。

 その成果は決勝戦で出た。3回、何度も練習してきた左ストレートで試合を終わらせ、技能賞も獲得した。地方ジムの逆境を跳ね返した菊地は「世界王者が目標。仙台から動くつもりはないですね」と、トロフィーを片付けながら笑った。