WBA世界スーパーフライ級6位の久高寛之(25=仲里ATSUMI)が、今日23日ゴングの王者ウーゴ・カサレス(32=メキシコ)戦を前に22日、大阪市内での調印式と計量に出席。過去2度の世界挑戦はともに判定負け。今回も敗れれば引退も辞さない覚悟でリングに上がる悲壮な決意を示した。計量は久高が100グラムアンダーの52・0キロ、カサレスがリミットの52・1キロでともに1回でパスした。

 それまで目も合わさなかった両者が、激しくにらみあった。計量直後にわずか10センチの距離に最接近。20秒近くも火花を散らした。過去2度、WBAフライ級王座に挑んで敗北。1階級上で三度目の正直を狙う久高は「3回目の挑戦なんで、もうあとはない。ボクシング人生をかけて、必ず勝つという思いで戦う」と決意を口にした。

 08年7月に坂田健史に判定で完敗。09年5月にはデンカオセーンに1-2判定負けした。悲願実現へ新たな武器も用意した。中間距離からジャブと同じモーションで放つ左ロングフック。伝授した所属ジムの仲里会長は、自身の出身地と久高のルーツの沖縄から「琉球フック」と命名した。右ストレートが代名詞の久高も「右が当たらなかったら左フックで倒せる」と強気。デビュー2連敗。そこから世界王者にのぼりつめた国内ボクサーは過去にいない。史上最大級の「下克上」を、背水のリングで完成させる。【大池和幸】