WBC世界ミニマム級王者の井岡一翔(22=井岡)が「左」でタイの刺客を完封する。大みそかの2度目の防衛戦に向けて29日、大阪市内で予備検診に臨み、身長とリーチで5センチ以上も同級10位ヨードグン(21=タイ)を上回ることが判明。井岡は「今回の1つの鍵」という左ジャブを軸にしての完勝を誓った。

 体格を示す数値は、ほぼ全項目で井岡が上。あらためて自信を深め「僕と(挑戦者と)は距離感が違うから」と作戦の一端を明かした。左で機先を制し、なるべく中間距離を保つ考え。ファイター型のヨードグンを空転させれば、防衛戦初のKOも期待できそうだ。

 「6回は超えない」との挑戦者のKO宣言に、王者は「だらだらした試合はしない」と切り返した。父の一法トレーナーも「この相手なら左だけで勝てる」と自信ありげ。陣営は勝てば来春予定のV3戦をミニマム級ラストマッチにする意向で、かねて計画があるWBA同級王者八重樫東(大橋)との統一戦に向け、本格交渉に入るつもりだ。

 検診を終えた井岡は最後の練習を行い、体重はリミットを300グラム下回った。ボクシングには「左を制する者は世界を制す」との格言がある。井岡も左リードブローから、勝利への道を切り開く。【大池和幸】