国内最速男が「世界最速V2」を果たす。WBC世界ミニマム級王者・井岡一翔(22=井岡)が今日31日に地元大阪(大阪府立体育会館)で同級10位ヨードグン・トーチャルンチャイ(21=タイ)の挑戦を受ける。2月に国内最速7戦目で世界奪取した井岡は、今回勝てば9戦目V2達成となり、これは世界史上3例目の最速記録であることが判明。30日、大阪・なんばの家電量販店での公開計量をパスし「KOで終わらせる」と完勝を宣言した。

 井岡は力強くガッツポーズを決めた。体脂肪は5%以下。鍛え抜いた肉体を、公開計量で集まった約300人に向けて披露した。計量はリミット体重を100グラム下回る47・5キロで一発パス。フライ級(50・8キロ)がベスト体重ながら、ミニマム級に落とすのは今回が3度目だ。汗が出にくい冬の厳しい減量がようやく終わった。鉄分入りの温かい特製茶を胃にゆっくり流し込む。準備が整った。

 井岡

 減量が終わってほっとした。やり残したことはない。試合でどれだけのパフォーマンスができるか楽しみ。大みそかにせっかくやらせてもらえる。いい内容で、いい印象を残して来年につなげたい。KOで終わらせるつもり。

 勝てば新たな勲章も加わる。9戦目で世界王座V2成功なら、元WBCスーパーライト級王者センサク・ムアンスリン(タイ)、元WBAバンタム級王者・文成吉(韓国)と並ぶ史上3例目の“世界最速”となる。デビュー後しばらくは、慎重なマッチメークで育成するのがボクシング界の常識。覆してきた井岡だからこそ、こんなスピード記録も生まれてくる。

 1歳下のヨードグンは同じ9戦目の無敗挑戦者。勢いがあり、怖いもの知らずで向かってくる。それでも「僕とは戦ってきた相手のレベルが違う。格の違いを見せたい」と見下し、王者の風格さえ漂わせた。

 大阪、横浜(横浜文化体育館)に分かれて世界戦が3試合。井岡は日本人3選手のトップバッターとして登場する。「(内山、細野と)ジムは別だけど同じ日本代表の気持ちで頑張りたい」。“ボクシング祭り”の主役を譲るつもりはない。【大池和幸】