23日に大阪城ホールで6度目の防衛に成功したWBCバンタム級王者・山中慎介(31=帝拳)が、シンガポールでV7戦を行う可能性が浮上した。24日、所属ジムの本田明彦会長が明らかにした。大阪市内で会見した山中は、自身の強さを証明するためにビッグマッチを熱望。記録よりも記憶に残る王者を目指していく強い覚悟を示した。

 4度のダウンを奪う完勝でV6を果たした山中に、海外進出の可能性が出てきた。本田会長は次戦について、「良い相手がいれば国内でと思っているが、いなければ海外も考えている。9月のシンガポールの可能性もある。期限を切らずに交渉していく」と方針を説明。相手の質を重視した試合を組むことを強調した。

 名前が挙がった「9月のシンガポール」とは、米プロモート大手トップランク社が主催し、ロンドン五輪ミドル級金メダルの東洋太平洋、日本同級1位・村田諒太(28=三迫)も出場予定の興行。豪華競演が実現すれば、山中にとって意欲を見せてきた初の国外での世界戦となる。

 柔らかな表情で会見に臨んだ山中も、思いは同じだ。「僕は周りの評価を気にするタイプ。まだ自分の強さを証明できていない。他の団体にも王者はいるし、強い選手と戦って評価を上げていきたい」。力強い口調で、統一戦も含めたビッグマッチを熱望した。

 対戦を希望してきたWBCスーパーバンタム級王者・サンタクルスについても「人気もあって評価も高いのでやってみたい」とあらためて興味を示した。陣営は過去にサンタクルスにオファーを出した。山中の実力やKO率の高さなどを考慮され、実現には至らなかったが、再度オファーを出す可能性は十分ある。

 「日本ボクシング界を引っ張ってきた人」と尊敬するWBCバンタム級王者の先輩・長谷川の引退が決定的となり、山中への期待はさらに膨らむ。日本のエースの次なる戦いに注目が集まる。【奥山将志】