1敗の関脇栃煌山(28=春日野)が、全勝の横綱白鵬(30=宮城野)も止めた。立ち合いで当たってから体が反応して、瞬時のはたき込み。横綱に手をつかせた。前日の横綱鶴竜(29=井筒)に続いて、2日連続で全勝横綱を撃破した。「体が勝手に動いた。当たり負けたけど、当たれた感覚があったので、とっさに動いた。うれしいです」と、気持ちを抑えながら、静かに喜んだ。

 白鵬には過去1勝28敗。12年秋場所を最後に、14連敗中だった。「倍以上に負けが込んでいるので、そこは考えても仕方ない。自分のやることだけやろうと思った」。今場所から変えた、前傾姿勢の仕切りで低く、鋭く踏み込んだ。その立ち合いが効いたからこそのはたき込みだった。

 1年前は悪夢だった。6場所連続で三役の座を保ち、春場所9勝、夏場所は10勝して乗り込んだ名古屋場所で、左肩の亜脱臼で途中休場した。「その分、今場所は頑張りたい」。2横綱、2大関撃破は十分、悪夢を振り払っている。

 残る上位戦は、11日目の大関豪栄道(29=境川)戦のみ。06年初場所の栃東以来9年半ぶりの日本出身力士の優勝へ、残る5日間にすべてが懸かる。「まだまだある。1日1日しっかり集中して、いい相撲で勝っていきたい」。力強く、言葉を発した。