新関脇の高安(26=田子ノ浦)が、大関照ノ富士(24=伊勢ケ浜)に粘り勝った。「遠回りしちゃいましたけど、無駄な動きが多かったけど、我慢できました」と、熱戦をモノにして息を弾ませた。

 突き、押し合いから大関得意の右四つとなり、さらに巻き替えられて右手はバンザイさせられた。絶体絶命の状態に陥ったが、頭は冷静だった。「落ち着いていましたね。慌てる感じはなかった。不利な体勢を立て直して、自分の形に持って行こうと考えていた」。左上手で投げを打ち、体勢を整える。そして右前まわしを引いて、しゃにむに前身。最後は腹で押すように寄り切った。

 この日は、幼なじみの元AKB48で女優の秋元才加(28)がNHK大相撲中継のゲストで両国国技館に訪れていた。勝った瞬間に、向正面に座っていた幼なじみから拍手を受けた新関脇は「せっかく来ているので負けられないですね」と安堵(あんど)した。いい力になったようだ。

 平成世代の先頭を走りながら、大関昇進で先を越された後輩を破り、これで1横綱2大関を撃破。「我慢して勝てたのが一番いい。残して、我慢して、辛抱して勝つのがすごくプラスになることなので」。大関とりの足固めに向けて、大きな1勝を挙げた。