大相撲の横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が12日、水戸市の茨城県近代美術館でトークショーを行った。昇進前に決まっていたイベントで、約700人を前に「こんなにたくさんの人に激励されるとは夢にも思っていなくてうれしいですが、本当に春場所で成績を残さないといけない気持ちが今あります」と苦笑いした。

 直前には奈良時代に唐招提寺を創建した唐の高僧鑑真に、日本画の巨匠東山魁夷がささげた絵画を観覧した。鑑真は仏教を伝えるべく12年かけ、5度の失敗もめげず6度目の挑戦で来日。稀勢の里も6度目の綱とりで成就しただけに「時間がここまでかかってもやり遂げるのは自分も学ばなければいけない」と話した。

 夜は県知事らの主催で約1000人が集まった昇進祝賀会に出席。県産野菜1トンや常陸牛ロース40キロなど「茨城尽くし」の贈呈品に満面の笑みで「これからは茨城県をもっと名誉ある県に育て、一生懸命稽古し、全力で頑張ります」と誓った。