新作「キャタピラー」などで知られる映画監督の若松孝二さん(74)が4月下旬、映画祭出席のため滞在していたレバノンのベイルートで、同行のカメラマンら2人とともに現地警察に一時拘束されていたことが2日、関係者の話で分かった。

 撮影禁止の場所で撮影したことが理由とみられ、警察署で事情聴取を受け、約7時間後に解放されたという。

 関係者によると、3人が拘束されたのは4月29日午前11時(現地時間)ごろ。ベイルート郊外のルミエ刑務所周辺で同行者が若松さんを撮影していたところ、警備の警察官にパスポートの提示を求められた。

 いったん刑務所内の施設に拘束された後、手錠を掛けられて警察署に連行。映画祭の関係者らが弁護士とともに署に駆け付け解放を交渉した。

 ルミエ刑務所は、レバノンへの政治亡命が認められた日本赤軍元メンバーの岡本公三容疑者(62=ロッド空港乱射事件で国際手配)らが1990年代後半に服役。政治犯らを収容しているとされ、施設の撮影は禁止されている。

 若松さんらはベイルートで開催された映画祭の招待で、4月下旬から約1週間レバノンに滞在。映画祭では、連合赤軍事件を取り上げた作品「実録・連合赤軍

 あさま山荘への道程」を上映、トークショーも行われた。

 「キャタピラー」は今年のベルリン国際映画祭に出品され、主演の寺島しのぶが日本人として35年ぶりに最優秀女優賞を受賞した。