吉永小百合(62)がおちゃめに変身!

 主演映画「まぼろしの邪馬台国」(堤幸彦監督、11月公開)のロケ撮影が九州各地で行われている。吉永は竹中直人(51)演じる破天荒な夫を明るく支える妻役。サザエさんにも似た髪形や、生卵を次々投げつける夫婦ゲンカ演技も披露。撮影の合間もセットに頭を思い切りぶつけるズッコケや、竹中の手を握って童謡を歌い出すハイテンションで現場を盛り上げている。

 雲仙・普賢岳を背に島原湾を望む丘陵。スタッフが作った古墳跡の斜面を吉永は足どり軽く駆け上がる。竹中を見つけて「お父さん!」と笑顔を見せた。竹中と腕を組んで冗談を言い合う。明るくはつらつとした印象には理由があった。

 悲運や貧困にみまわれながら、盲目で横柄な夫を支えた妻役。ひたすら耐える女性像が浮かぶが、吉永は「普段の演技でやらないような、おちゃめな面を出せている気はします」。昨年9月、実在モデル女性の宮崎和子さんに会った。半生を振り返る言葉は「面白くて楽しかった」。吉永は「元気に明るく演じたいと思いました」。

 撮影は昨年10月に都内で開始。夫婦ゲンカ場面では我を忘れかけた。生卵を窓の外に投げつける演技。撮影前、貧困時代の設定もあって堤監督に「もったいないから1個にしましょう」と提案。ところが「コントロールが悪くて(竹中に)当たっちゃった。面白くなっていくつも投げたくなっちゃって」。カゴに入った7~8個の卵はカラに。「10代のころならやったかもしれない芝居。快感でした」と笑った。

 ウエーブの効いた髪形も印象的。「サザエさんみたいでしょ?

 活動的で若返った気がします」。

 竹中にはズッコケエピソードを暴露された。狭い撮影セットに入る時、後ろの竹中に「気をつけて」と頭を下げるように言葉を掛けた。その直後、衝突音が響いた。注意を促した吉永が振り向きざまにおでこを打っていた。スタッフも笑いをこらえ切れなかった。吉永は「あれはおちゃめ過ぎました」と笑った。

 関東近郊ロケの合間。午後5時の時報が聞こえると竹中の手をとり、前後に大きく振りながら童謡「夕焼け小焼け」を少女のように口ずさんだ。明るい振る舞いが現場を盛り上げる。堤監督も「元気な夫婦の姿が撮れています」。吉永、竹中による“おもろい夫婦”の誕生だ。