日本初のコメディーをメーンとする映画祭「したまちコメディ映画祭in台東」の概要が25日、分かった。渥美清さん(享年68)萩本欽一(67)ビートたけし(61)ら大物コメディアンを輩出した浅草と上野を拠点に11月21日から開催。雷門から浅草寺本堂までレッドカーペットを敷き詰め、国内外ゲストを招く開幕イベントも予定している。浅草の隣の押上に建設予定の「東京スカイツリー」とあわせて、下町にスポットライトが当たることになりそうだ。

 

 「したまちコメディ映画祭in台東」総合プロデューサーで、井上ひさし氏(73)とともに実行委員に名前を連ねるいとうせいこう氏(47)は浅草在住。異色の映画祭創設について「映画祭という以上、お祭りである。お祭りなら浅草・上野にまかせていただきたい」と話す。

 浅草は、活動写真の常設上映館が日本で初めてオープンした。エノケンこと榎本健一さんをはじめ各劇場から渥美清さん、萩本欽一、ビートたけしら多くの名コメディアンを輩出した笑いの聖地だ。東京国際ファンタスティック映画祭のメーンスタッフを務めたこともあるいとう氏は、浅草をはじめ、下町が持つ娯楽性を生かしたイベントとして、コメディーを題材とした映画祭の構想を5年前から温めていた。台東区をはじめ行政側や地元関係者と協議を重ね、全面協力を得る形で開催が決まった。

 上映やイベントは充実の内容だ。観光名所の浅草でも過去に例がない華やかなイベントで開幕する。雷門から浅草寺本堂まで約480メートルにわたってレッドカーペットを敷き詰め、国内外のゲストが練り歩く。人力車に乗り移動する演出などもあるほか、計4日間の期間中は、浅草公会堂をメーン劇場とし、浅草、上野の両地区で約35本の作品を上映する。

 日本未公開作や、今年13回忌を迎える渥美清さんの特集上映、イラストレーターみうらじゅん氏(50)による特集企画「バカ映画に愛を込めて」やファミリー向け作品特集などを予定。喜劇界の功労者を表彰するコメディー栄誉賞授賞式、放送作家高田文夫氏(60)やいとう氏のトークショーも行う。関係者によると、浅草に縁深い大物コメディアンの招へいも行うという。

 実行委員会会長を務める吉住弘台東区長は「地域のみなさまとの協働によるイベントも行い、若者や家族連れなど世代を超えた多くの方々を笑いで包み、町を活気づけたい」。来年以降も開催を続け、喜劇の町としてアピールを続けていく意向だ。