米歌手フランク・シナトラさんの曲が、日本映画に初めて主題歌として使われることが14日、分かった。これまで、CM以外の映像作品で使われたことはなく、最後のコンサートを行うなど日本との縁が深かったことや、没後10年という節目を迎えたこともあり実現した。

 50年前に発売された「カム・フライ・ウィズ・ミー」が、映画「ハッピーフライト」(矢口史靖監督、11月15日公開)のラストに流れる。ビッグバンドの演奏に乗せて、シナトラさんの伸びやかな声で「僕と空を飛ぼう」と、世界への旅に誘う歌詞が続く。

 「ハッピー-」は、航空業界の内幕をユーモアを交えて描いた作品。矢口監督はレンタルCD店を回って、作品に合う曲を探し、シナトラさんの「カム・フライ-」に出合った。シナトラさんの楽曲使用の困難さは知っていたが、プロデューサーを通じて、版権を管理する米国のシナトラ・エンタープライズと交渉開始。アルバム「シナトラ、ザ・ベスト」が発売され、米国でも切手が発売されるなど、没後10年イベントが盛り上がっていたこともあって使用が許可された。矢口監督は「ダメもとでお願いしました。本当に使用できるなんて夢のよう」と喜んだ。

 ベストアルバムの1曲目は偶然にも「カム・フライ-」。シナトラ・エンタープライズも「シナトラは日本のファンと末永くつながれていくことを喜ばしく思っているに違いない」とコメントした。30日から全国の劇場で予告編が見られる。