是枝裕和監督(63)が13日、母校の早大の人気授業「マスターズ・オブ・シネマ」の講義にゲストとして登壇し、公開中の新作「箱の中の羊」をはじめ、学生からの質問に答えた。

冒頭で「是枝裕和を知るための15の質問」と題したコーナーで質問に応じた同監督は、広く知られている、自然なものを引き出すために子役に台本を渡さず、現場で口答で説明することについて、23年の前作「怪物」に続き、今作でも台本を渡したと明かした。その上で「最近、この(映画)2作は渡していますけど。最近、渡すようにしています。やり方を変えつつある」と語った。

「箱の中の羊」は、そう遠くない未来が舞台。綾瀬が演じた建築家・音々と、大悟が演じた工務店の2代目社長を務める健介の甲本夫婦が、息子を亡くして2年のタイミングで、桒木里夢(くわき・りむ、10)が演じた息子・翔の姿をしたヒューマノイドを自宅に迎え入れる。ヒューマノイドに前向きだった音々が「おかえり」と駆け寄って喜ぶ一方、健介は戸惑いを隠せず、ヒューマノイドから「パパだよね」と問いかけられても「おじさんでええよ」と答えるなど、夫婦の間には温度差が生じる物語。

是枝監督は、撮影を振り返り「(桒木)里夢君は、本人は取材では家で頑張って覚えたと言っているけど、お母さんに『やってないじゃん』と言われ『盛った』と」と笑いながら語った。その上で「(桒木が)綾瀬さんと大悟さんと、やりとりする中でつかんでいく感じ。それが良かった。お母さんと練習して(現場で芝居が)動かないのが1番、困るので、柔軟で撮っていて面白かった」と振り返った。

◆「箱の中の羊」 息子を亡くして2年。建築家の音々(綾瀬はるか)と工務店の2代目社長・健介(大悟)の甲本夫婦は、息子・翔(桒木里夢)の姿をしたヒューマノイドを迎え入れることになる。到着した日、「おかえり」と駆け寄り喜びを隠さない音々と、戸惑いを隠せない硬い表情の健介。「パパだよね」と問いかけられた健介は、「おじさんでええよ」と答える。ほどなく予期せぬ事態が起こり、夫婦がそれぞれに抱く息子の死への思いがあらわになっていく。夫婦が大きな決断に迫られる中、ヒューマノイド翔はひそかにヒューマノイドの仲間たちとつながり始める。