第52回ブルーリボン賞(主催東京映画記者会=日刊スポーツなど在京スポーツ7紙の映画記者で構成)の授賞式が16日、都内で行われた。「ディア・ドクター」で主演男優賞の笑福亭鶴瓶(58)を、過去に同賞を受賞した三国連太郎(87)西田敏行(62)本木雅弘(44)が祝福。西田からは、ライバルとして認められた。作品賞は「劔岳

 点の記」で、木村大作監督(70)は、新人賞とダブル受賞。

 「三国さん、西田さんと同じ舞台に立てて光栄。一緒にいてええんかな」と喜んだ鶴瓶を、もっとうれしい祝福が待っていた。前年の主演男優賞で、司会を務めた本木が、三国、西田をステージ中央に呼んだ。鶴瓶を3人の主演男優が囲んだ。特別賞の「釣りバカ日誌」シリーズの三国、西田の主演2人もやはりまた名優だ。本木が「52回のブルーリボン賞の歴史の中で、主演男優賞4人がそろうのは初めてだそうです」と話すと、会場から大きな拍手が起こった。

 「俳優鶴瓶」について三国は「軽妙さは、私たち俳優のプロにはない次元の高いもの。感心した」と絶賛した。西田は「大変なライバル。役柄がかぶるんです。もっとつるつるになってもらわないと。酒を飲みすぎて痛風が悪化しているようなので、しんどいことにならないよう」と、笑いを交えて実力を認めた。

 鶴瓶は「三国さんから2時間歩けと言われました。(痛風を)治します」と頭を下げた。本木に「今日は脱がないでください」と言われて「脱げへんわ!」と笑わせ、直前に「『劔岳』の現場に行かなくて本当に良かった」と冗談を言っていたとは思えないほど、緊張した顔だった。

 しかし、名優たちが祝福を惜しまないほど、鶴瓶も成長している。初の主演作「ディア・―」でいくつもの映画賞を受賞。山田洋次監督、吉永小百合と共演した「おとうと」の評価も高い。俳優としての地位を着実に固めている。

 ブルーリボン賞授賞式の司会は、前年の男女主演賞受賞者が務める。鶴瓶は「来年は本木(雅弘)さんよりうまくできるように頑張ります」と笑わせたが、司会をしながら自分の主演男優賞をアナウンスする―、そんなことがあるかもしれない。【小林千穂】