【ベルリン19日(日本時間20日)=小林千穂】俳優堺雅人(36)が、ベルリン映画祭パノラマ部門に出品された主演映画「ゴールデンスランバー」(中村義洋監督)の公式上映に出席した。初めて海外映画祭に参加した堺は、観客が体いっぱい使って高く評価してくれたことに「非常に興奮する経験でした」。同映画祭期間中に、北米地域の複数の映画祭からもオファーがあったようで、堂々の“世界デビュー”となった。

 ベルリン映画祭は、カンヌ、ベネチアと並ぶ世界3大映画祭のひとつで、約40万人の観客数は世界一多いと言われている。初参加する海外映画祭は大舞台だが、堺は「1人でも『良かった』と言ってくれる人が多ければいいので、世界も国内もあまり違いはない」と、気負いなく臨んだ。

 「ゴールデン-」は公式部門のひとつで、54本を集めたパノラマ部門で上映された。実績ある監督の新作や、新しい才能を発掘する部門に位置付けられている。公式上映の会場は、収容人数約1000人。午後9時半すぎに始まり、終了が午前0時近くになったが、7割が埋まった。上映中はもちろん、上映後もすぐに席を立つ観客はほとんどおらず、拍手が続き、指笛も吹かれるなど好反応だった。

 観客がどの場面でどういう反応をするかメモを取りながら見たという堺は「いい感触でした。お客さんと作品を見ることはあまりないので、ありがたかったですし、心躍る、非常に興奮する経験でした」と喜んだ。しかし、気を緩めず「映画祭に呼んでいただいたりすると、知らず知らずのうちに浮ついたり、うそをついたり、背伸びをしてしまう可能性がある。借り物じゃない言葉で表現して、物を考えることが大事で、明日からの生活がどう変わるかじゃなく、どう変わらないかが大切」と話した。

 関係者によると、同映画祭期間中に、北米地域の複数の映画祭からもオファーがあったという。海外からのオファーや他の映画祭については「もちろんやらせていただきたいです。始まりがベルリンで良かった」と話していた。