日本テレビ系「笑点」の大喜利ではけんかばりしている司会の桂歌丸(79)とレギュラー三遊亭円楽(66)だが、実は仲がよく、長年培った信頼関係でつながっている。

 円楽が歌丸に「ガイコツ!」「お迎えが近い」などと毒を吐き、座布団がとられる場面がおなじみだが、歌丸が勇退を発表した会見で、円楽は涙を浮かべて男泣きした。「死ぬまで続ければいいと思ってた。死んじゃえば私がツッコめるし」といつものに毒を吐いたかと思えば、「笑点を通じて、時々『生きてるか~?』って信号送りますから、そしたら『生きてるよ』と言ってください」「安心したのが落語をやっていく欲があること。この前も車椅子を押させていただいた。だんだん背中がちっちゃくなってきた。でもちっちゃな背中が噺をやると、背筋がピンと張る。笑点は卒業でも、落語でずっと背中を見ていきます。だから長生きしてください」と愛情あふれる言葉が続いた。

 円楽は師匠である先代円楽が亡くなった後、落語芸術協会の会長を務める歌丸に「定期的に定席に出るため落語芸術協会に交ぜていただきたい」と円楽一門会としての加入を申し入れたが、寄席の出番が少なくなることを恐れた協会員たちの反対で、頓挫したことがある。また、「歌丸師匠を人間国宝にする会」を立ち上げ、10万人を目標にネットで署名活動を展開したり、歌丸との二人会を数多く行うなど、深いきずなで結ばれている。

 会見で歌丸は後任司会について「私が決めることではない。日本テレビさんにお任せしています」と話したが、先代円楽が引退した時に「歌さん、頼む」と司会を譲ったように、歌丸から円楽へのバトンタッチが自然な流れと思うのだが…。【林尚之】