米国では次期米大統領が無責任に発信するツイッターに世界中が振り回されていますが、日本では文化勲章受章者でもある仲代達矢が、84歳で初めてツイッターを始めました。

 元日に投稿された初ツイートでは「あけましておめでとうございます」と新年のあいさつとともに、「仲代達矢84歳、ツイッターはじめました」とツイッターのヘッダー画像の題字を書く姿が動画で公開されました。

 このツイッターは6月に公開予定の主演映画「海辺のリア」の公開を記念して期間限定で開設されたものですが、仲代はファンからのコメントにも律義に時折返信するなど初ツイッターを楽しんでいます。5日には「たくさんの方々に見て頂きありがとうございます。楽しいね」とツイートしました。

 「海辺のリア」は、かつてスター俳優だった桑畑兆吉を主人公にした、小林政広監督とのコンビ3作目。認知症の疑いがあり、娘夫婦に遺書を書かされた上、高級老人ホームに送り込まれた兆吉が、施設から抜け出し海辺をさまよい歩く中で、妻とは別の女性に産ませた娘伸子と突然の再会を果たすというもの。舞台の代表作「リア」にも通じる作品ですが、仲代は「この作品は『仲代達矢のドキュメンタリー』とも言えるかもしれません。実際、シナリオを読んだ瞬間、『ああ、遭遇してしまった。今だからこそできる作品に…』と思いました」と打ち明けています。

 といっても、仲代には認知症はまだ無縁で、今年も主宰する無名塾の新塾生募集を行い、10月には無名塾公演「肝っ玉おっ母と子供たち」の母親役で主演を予定しています。85歳での「肝っ玉おっ母」役は世界でも例がない挑戦ですが、年々せりふを覚えるのが大変になっているからと、新年早々からセリフを入れる自主稽古を始めています。「あと30本やりたい芝居がある」と話す仲代ですが、「生涯修業」と、あくまで謙虚です。海の向こうのツイッター男にも、この謙虚さを見習ってほしいものです。【林尚之】