◆博士と彼女のセオリー(英)

 スティーヴン・ホーキング博士ってニュートン、アインシュタインに並ぶ天才物理学者で、車いすに乗ってて…てな認識しかなかったけど、実にイケた。高校の「物理0点」でラブストーリー嫌悪症でも、問題なかった。

 63年にケンブリッジ大大学院で、物理専攻のスティーヴン(エディ・レッドメイン)とアート専攻のジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)が出会う。スティーヴンがALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症、余命2年と宣告されながら、2人は結婚。子を授かり、家庭を築いていくが-。

 レッドメインが、オスカーの主演男優賞に輝いた。ホーキング博士と顔がそっくりで驚いた。コップをこかす、なぜか転ぶ…体が動かんようになる恐怖、絶望感、それでも負けん根性がビンビン伝わってくる熱演や。別れを切り出すシーンも泣けた。覚悟を胸に夫と歩むジェーンを演じたジョーンズも美しいわ。

 夫婦は別の相手にひかれ、結婚26年目に離婚する。バツ2の私は「恋愛感情に賞味期限はある」と思うし、納得やが、ここまで“理想的な別れ”はないよな。ボーイ・ミーツ・ガールの最終形態に脱帽でした。【加藤裕一】

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