4月から、民放各局の新番組が一斉にスタートする。中でも激戦なのが、金曜のゴールデンタイム(G帯=午後7時~同10時)だ。長く“TBSの牙城”が続くこのゾーンを、各局が新番組や大胆な枠移動で崩しにかかっている。受けて立つTBSは「多少意識はするが、地に足をつけて頑張る」と自信をみせている。

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 TBS金曜G帯のラインナップは、7時「爆報!THEフライデー」、8時「ぴったんこカン・カン」、9時「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」という流れ。2ケタ視聴率番組の3階建てになっている。同局は昨年、G帯とP帯(午後7時~同11時)の平均視聴率が5年ぶりに2ケタを回復し、今月末で9年ぶり3位以上もほぼ確定。そんな好調を支えてきたのが、この金曜G帯だ。

 「TBSの牙城を崩すべく、さらに金曜日強化を推し進める」。そう燃えるのは、日本テレビ黒埼太郎編成部長だ。8時枠に、MC有吉弘行や桝太一アナウンサーらが出演する新番組「究極の○×クイズSHOW!! 超問!真実か?ウソか?」を編成した。昨秋にスタートさせた7時枠の「沸騰ワード10」と合わせ、金曜日強化の第2矢という位置付けだ。同局にとっては「マジかるハテナ」以来3年ぶりのクイズ番組で、お家芸の○×クイズで勝負する。黒埼氏は「強い金曜日を実現し、さらなる盤石のタイムテーブルを目指す」と力強い。


日本テレビ系「究極の○×クイズSHOW!!超問!真実か?ウソか?」。左から桝太一アナウンサー、有吉弘行、劇団ひとり(C)NTV
日本テレビ系「究極の○×クイズSHOW!!超問!真実か?ウソか?」。左から桝太一アナウンサー、有吉弘行、劇団ひとり(C)NTV

 テレビ朝日は、火曜9時の「ロンドンハーツ」を金曜9時へ引っ越しさせ「金曜ロンドンハーツ」をスタートさせる。7時台の「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」→8時「ミュージックステーション」と続く流れを「ロンハー」につなげ、若者層を意識したリズムにした。谷口洋一編成部長は「アニメ、Mステときた若者層の縦の流れを強化した。ロンハーも人気コーナーをパワーアップさせます」。打倒TBSに「もちろん頑張りたい」と自信をみせる。

 テレ朝と逆に、高齢者層の流れで金曜日を建て直すのがテレ東だ。歌謡曲の「木曜8時のコンサート」が、「金曜7時のコンサート」にお引っ越し。「三匹のおっさん」「釣りバカ日誌」など高齢者層を取り込んだラインナップが好評な「金曜8時のドラマ」へとつなげる流れを作った。高野学編成部長は「我々の力不足で、金曜7時の番組が定着しない。男女60代~70代をターゲットに絞り込むことで、縦の流れも良くなると思う。枠の定着を確実にねらっていきたい」。


民放各局の4月改編発表資料。バラエティーは金曜日がアツい
民放各局の4月改編発表資料。バラエティーは金曜日がアツい

 フジテレビは、過去2回の特番を改題した「幸せ追求バラエティ金曜日の聞きたい女たち」を7時枠でスタートする。男女の本音トークバラエティーで、おぎやはぎがMCを務める。

 他局の攻撃を受けて立つTBSは「日テレさんのクイズ番組やテレ朝さんのロンドンハーツの枠移動など、多少意識している部分はある」(編成部企画総括石丸彰彦氏)と危機感をみせながらも「1個1個の番組が視聴者と向き合い、地に足をつけて精一杯頑張るしかない」と自信の構えだ。

 勢力図がどう変わるのか、それとも変わらないのか。アツい金曜日バトルに、ちょっと注目である。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)