女性5人組ロックバンド「SHOW-YA」が今年30周年を迎える。女性ロックバンドの草分け的存在として、今も強い自覚と責任を持ち続けている。ボーカル寺田恵子(51)は、デビュー当時の苦労を振り返りながら、セクシーな衣装やライブを大切にするこだわりを今後も貫いていく意欲を示した。

 週2日はジムに通い、体力づくりに励む。バンドの未来を考えた上の取り組みだ。「体の軸を整えるトレーニングをしています。サウンドが昔よりもハードになっている。40、50周年に向けて体作りから始めようかと」。

 30年の道のりは逆風から始まった。デビュー当時、他に女性ロックバンドがほとんどおらず、先入観に苦しんだ。「ハードロックは売れないから、分かりやすい音楽にしてほしい、ビジュアルをこぎれいにしろと言われました」。「こぎれい」を意識したメークや衣装のプロモーション映像を見て「大爆笑した。売れたいという気持ちが前面に出て格好悪いなって」。

 それでも音楽性を含めて自分たちを知ってもらおうと積極的なメディア露出を心掛けたが、思わぬ反感を生むこともあった。「『お前らロックじゃない』と言われて板挟みになって大変だった。『歌謡界に魂を売った』じゃないけど、そういう風潮はあったんじゃないかな」。

 サウンドはハードロック路線、ルックスはセクシーな印象が強まった。デビュー4年目。アルバム「アウターリミッツ」が売り上げ60万枚の大ヒットを記録。プリンセスプリンセスも同時期にブレークを果たし、その後、女性ロックバンドが次々とデビューした。

 先駆者として現状に満足はしていない。女性歌手は増えたが、ロックバンドはまだまだという。「出てきてほしいですよね。もっとSHOW-YAが頑張らなきゃいけないかな」。

 そんな思いを形にしたものがSHOW-YAプロデュースのロックフェス「NAONのYAON」。87年に初開催し、中断を経て今年9回目を迎える。29日に東京・日比谷野外大音楽堂で行う。SHOW-YAをはじめ山下久美子、平野綾ら豪華な顔触れがそろう。「新しいバンドも、大きなところでやることによって『もっと頑張らなきゃ』というモチベーションになってくれればいい」。

 走り続けて迎えたデビュー30周年。記念カバーアルバム第2弾「Glamorous Show 2」を来月27日に発表する。矢沢永吉や沢田研二といった男性ソロ歌手のヒット曲をカバーした異色作で「女性ロック系シンガーや女性ロックバンドは数多くないので、男の人の楽曲が増えてくるのかな」。

 生涯ロックバンドでいたいという。「ずっとライブをやっていけるバンドでありたい。体力が続く限りは死ぬまでやっていたい」。トレードマークのセクシー衣装も「ずっと着ていたいけど、おいっ子からNGを出された時がやめ時かな。頑張ります!」。【近藤由美子】

 ◆SHOW-YA(ショーヤ)ボーカル寺田恵子(51)キーボード中村“captain”美紀(55)ギター五十嵐☆sun-go☆美貴(52)ドラム角田“mittan”美喜(51)ベース仙波さとみ(51)の5人。85年シングル「素敵にダンシング」でメジャーデビュー。「限界LOVERS」「私は嵐」などのシングルがヒット。91年に寺田が脱退し、98年にバンド活動終了。デビュー20周年の05年にオリジナルメンバー5人で再結成した。