俳優阿部サダヲ(45)が2日、大阪府摂津市の阪急正雀工場で、NHK放送90年ドラマ「経世済民の男 小林一三~夢とそろばん~」(9月5、12日=午後9時)を収録し、ダメ社員時代があった阪急東宝グループの創業者、小林一三役への共感を語った。

 「僕自身ともかぶる部分はありますね。役者始めてからはいいですけど、ダメサラリーマンでしたから。ノルマ達成したこと、なかったですもん」

 役者業に出会うまで、ぶち当たった壁を思い、自分を一三氏に重ねた。阪急電鉄、百貨店、宝塚歌劇団など、阪急東宝グループ(当時)の創始者として知られる一三氏だが、銀行員だった当時は、意外にも“ダメ銀行員”だった。

 阿部は「やっぱり、人生ダメな時もないと…。でも、一三氏も組み立てて、何かを生み出すことが好きだったんですね。天職だったんじゃないですか」と言い、失敗を糧に成功した一三氏とは、共感する部分も多いようだ。

 この日は、阪急電鉄の前身、箕面有馬電気軌道の開業場面などを車掌姿で収録した。「出発進行!」とのセリフもあり「気持ちよかった」と笑った。

 実際に一三氏も創業者ながら、車掌姿で職員の業務を見回っている写真が残されており、阿部も、詰め襟の制服を着用しての収録だった。「学生服に似てますけど、もう(年齢的に)学ランは無理かな」と笑わせていた。

 同ドラマは、小説家志望で落ちこぼれ銀行員だった一三氏が、ビジネスと人生の師に出会い事業の面白さに目覚め、独創的な手段で弱小電鉄を大企業へと成長させていく様子を描く。

 番組プロデューサーによると、宝塚歌劇団の創業場面も描かれ、第1回公演を再演収録する予定。

 さらに、1927年9月1日、同劇団によって日本で最初に上演されたレビュー「モン・パリ~吾が巴里よ!~」の場面も、現役のタカラジェンヌが出演し、収録する予定という。