「ドラえもん」の声で知られる声優で女優の大山のぶ代(78)が認知症を患い闘病中であることが13日、分かった。夫の俳優砂川啓介(78)がTBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」に生出演し明かした。砂川は、大山が08年に患った脳梗塞の影響で物忘れの症状が以前からあったことを明かし「脳梗塞の後遺症だと思い(最初は病気に)気づかなかった」。大山は自宅で生活し、体は元気だが直前に言ったことを忘れるなどの症状があるという。

 夫妻の所属事務所は日刊スポーツの取材に「料理本を出版するほどの料理の腕だったが、料理ができない」「2分前に会った人の名前を思い出せない」「自ら入浴できない」などの症状を説明。認知症の症状は約2年前から出始め、症状が出ない日と出る日があるという。現在マネジャー、砂川、家政婦らが協力し介護。脳梗塞治療も含め2、3カ月に1度通院。薬を飲み症状改善に励んでいる。

 ただ昨年4月の砂川のライブではステージであいさつし、人前に出る時や気を張っている時はしっかりしているという。直近では先週、砂川のCDアルバムに収録された、曲紹介の声の仕事をしていた。この元気な声はこの日「ゆうゆうワイド」でも流れた。

 08年4月には心筋梗塞から脳梗塞を発症し約4カ月入院。リハビリで回復し09年4月に活動再開。10年11月には退院後初の公の場となったゲームソフト「ダンガンロンパ」の発表会に出席し元気にトークした。その後は同ゲームシリーズの悪役キャラの声優仕事を中心に活動していた。今後の仕事について所属事務所は「声の仕事を続ける意思はある」とし「現在は未定。今後は様子を見て判断」と説明。病気を自覚し、最近は弱気な発言もあるという。「台本を読むことに支障はなく、声取りはできるがテレビなど映像の仕事は難しい」と女優業の継続が困難な可能性も示唆した。

 ◆大山のぶ代(おおやま・のぶよ)1936年(昭11)10月16日、東京都生まれ。56年にNHKドラマ「この瞳」でデビュー。日本テレビ系「熱中時代」など多くのドラマに出演。声優としては69年にアニメ「サザエさん」で初代カツオを担当。79年から05年までテレビおよび劇場版のアニメ「ドラえもん」の主人公「ドラえもん」の声を演じた。

 ◆認知症 さまざまな原因で脳細胞が壊れることで起きる記憶障害や理解・判断力低下など、生活に支障が出るほどの症状。かつて痴呆(ちほう)と呼ばれた。脳の神経細胞が徐々に死んでいく「アルツハイマー病」や「脳血管性障害」などの原因が多い。「若年性認知症」もある。投薬治療などで進行を遅らせることは可能。厚生労働省によると有病者率は65歳以上では8~10%程度とみられている。