サザンオールスターズが18日、全国ツアー「おいしい葡萄の旅」最終公演を日本武道館で行った。

 同所公演は22年ぶり。ボーカル桑田佳祐(59)は、おなじみの軽妙なトークで沸かせた。

 開演直後、桑田が「22年ぶりの、ブドーカーン!!」と絶叫。「いよいよツアーの集大成、千秋楽でございます! みなさん今日1日楽しんでいってください!」と呼び掛けると、ファン1万2000人から大歓声を浴びた。

 中盤では、「武道館でコンサートをやるというのは、デビューしてからの夢でした。そういうグループは、たくさんあると思います」「甲子園には魔物がいると言いますが、武道館には神がいる!」と、「音楽の聖地」へのこだわりを明かした。

 そして、「日本武道館と言えば、ザ・ビートルズでございます。今から49年前、私が小学校5年の時に初来日公演がありました」と切り出し、テレビなどで見た当時の光景を回想した。

 「当時は人がすごくて、やっぱり警備の人もいっぱいで、警察が怖い顔をしているわけです。うちの姉貴が、武道館のチケットが抽選で当たるからとか言って、ライオンの歯磨きをたくさん買ってきて。今で言うAKBみたいな、そんな感じで」

 さらに「桑田節」はここから全開になる。

 「それで、ビートルズの前座がいるわけですけど、当時、ブルーコメッツとか、内田裕也さんとか。シェキナベイベー。内田裕也さんは怖いですよね。でも、樹木希林さんは、もっと怖い。家に帰ってきた内田裕也さんに向かって、モックン(本木雅弘)に体当たりさせていたらしいですから。あとは、ザ・ドリフターズも。当時は、前座ですらビートルズに会わせてくれなかったらしくて、長さん(いかりや長介)が舞台裏の廊下でビートルズと擦れ違った時、長さんのベースとポール(マッカートニー)のベースがぶつかって、長さんが『なんだあいつ!』と怒っていて、スタッフから『長さん、ポールですよ!』と教えられていた、とか。その時に長さんのベースについた傷は、今でも残っているらしい、とか。それは本当か分からないですけど」

 観客たちを桑田ワールドに引き込むと、ビートルズを意識したメンバー紹介へ。当時、来日公演の司会を務めたE・H・エリックをまねて、「レディースアンドジェントルメン! ウエルカム、ザ・ビートルズ!」と叫ぶと、リンゴを持ったドラム松田弘(59)が「リンゴ・スターです!」とあいさつ。続けてキーボード原由子(58)が「ジョン・レノンの恋人、小野妹子で~す」と笑いを誘った。

 桑田が「ちょっと、ビートルズの曲、やっちゃってもいいですか?」と尋ねると、大歓声と大きな拍手を受けた。「ヘルプ!」。ビートルズの名曲「HELP!」をサプライズで歌った。歌唱後、再び大歓声を浴びると「これが一番楽しかったかも」とおどけた。

 アンコールでは、「また皆さんにこのようにお会いできることを、心から祈っています。また会いましょう! 本当に」と呼び掛け、ステージで「健康だけには気を付けてください! 死ぬなよ~! みんな、死ぬな~!」と絶叫。「今日は長い時間、ありがとうございました! サザンオールスターズ!」と全員で頭を下げ、両手を挙げた。

 4月から始まった全11カ所23公演、計50万人を動員した大規模ツアーが、大きな盛り上がりを見せたまま幕を閉じた。