音楽グループの北海道歌旅座が10日、東京・渋谷公会堂で初公演する。

 歌旅座は、1985年のヒット曲「シャイニン・オン 君が哀しい」で知られるLOOKの元メンバーで、昨年3月に52歳で他界したチープ広石さんらが、道内を中心に数多くのライブを続けてきた。今回、渋谷公会堂の建て替えを前に、さよなら公演の1つとして白羽の矢が立った。

 LOOKが88年12月の解散コンサートを開いたのが渋谷公会堂。広石さんは生前、「渋公で歌旅座の公演がしたい」と話していたという。その音楽の聖地・渋公は建て替えに伴い、10月4日をもって一時閉館される。歌旅座には初公演がさよなら公演となったが、広石さんの遺志が実現する。

 歌旅座の現在の顔は、ボーカルのほかピアノ、作詞、作曲も手がけるJUNCO(じゅんこ)。2009年に広石さんと「JUNCO&CHEEP」を結成した。しかし、直後に広石さんが多発性腎臓ガンを発症したため、闘病しながら音楽活動ができるように、同コンビをグループ化し、歌旅座が立ち上げられた。

 歌旅座は2009年2月26日、「北海道180市町村公演」と銘打ったコンサートを始めた。それから6年あまり。活動の範囲は全国に広がり、道内の公演未開催地は1割となった。異色なのは寺院の本堂での公演。自前の2トントラックで音響、照明のほか、高さ40センチほどの小型ステージも持ち込む。

 司会も務める代表の弥藤邦生氏は「北海道で寺は地域のコミュニティー。檀家(だんか)がチケットを手売りしてくれるんです。そして、また来てね、と言っていただける。お客さんに育ててもらっています」と笑顔を見せる。後援会員は北海道を中心に約600人。10日の渋公には、2日現在、北海道から225人が駆けつけることも決まっている。

 10日のコンサート演目は、歌旅座が最も得意とする「昭和ノスタルジア」。「上を向いて歩こう」などの昭和歌謡が21世紀によみがえる。弥藤氏は「昭和の歌の聴きやすさを楽しんでいただきたい。その後、カラオケに行ったり、昭和の話をしたり、余韻に浸ってほしい」と話した。