SMAP木村拓哉(42)が10年ぶりに時代劇映画で主演する。累計500万部の人気コミック「無限の住人」(原作・沙村広明)の映画化で、国際映画祭の常連、三池崇史監督(55)がメガホンを取る。11月クランクイン、17年5月に公開予定。初顔合わせの2人が、同作でカンヌを目指す。

 木村にとっては、山田洋次監督「武士の一分」以来10年ぶりの時代劇映画となる。クランクインは11月だが、早くも原作世界に思いを巡らせている。

 「三池監督が僕を欲してくださったというのが一番大きかった。原作は好きな世界観ですし、不死身の主人公は今の社会では想像できないくらいの『痛み』と背中合わせです。見てくださる方に納得していただくためにも、うまくバランスを取らなければいけない」

 「無限の住人」は、「100人斬り」の異名を持ち、謎の老女から不老不死の肉体を与えられた万次が主人公。両親を殺された少女のために剣客集団との激烈な戦いに身を投じる。原作は22カ国で出版され、00年には米アイズナー賞に輝くなど、国際的評価も高い。

 「無限-」を映画化するにあたり、木村の主演起用を決めた三池監督は「不死身の剣士を演じるのは、この人以外考えられなかった」と説明。その上で「木村さんは昭和と平成を串刺しにしたスーパースター。人を殺さないことを除けば、『不死身』という意味で主人公に近い。彼自身、業界力学を超えた高みにいて、ひょっとしたら退屈していたのじゃないか。撮影現場で『映画って楽しい』と思わせたい」と話した。

 三池作品は10年の「十三人の刺客」がベネチアで、11年の「一命」と13年の「藁の楯」がカンヌで話題を集めており、原作の国際的人気を考えれば、公開に合わせた17年5月のカンヌ映画祭出品に現実味が出てくる。すでに衣装合わせを行った木村も「まずはしっかり演じることですが、監督、(小岩井宏悦)プロデューサーの目線の先に海外を意識していると感じました」と言った。木村の主演映画としては「武士の一分」がベルリン国際映画祭で特別部門に選出されて以来の国際舞台となりそうだ。

 主人公とともに復讐(ふくしゅう)の旅に出る少女、謎の老女などのキャストも注目される。

 ◆木村拓哉とカンヌ国際映画祭 04年5月、出演した香港映画「2046」の上映に合わせて参加。現地に5000人余りのファンが集まる騒動となったが、あくまで助演の立場だった。「無限の住人」が、正式に出品されることになれば、「主演男優賞」の候補になる。