オダギリジョー(39)主演映画「FOUJITA-フジタ-」(小栗康平監督)初日舞台あいさつが14日、都内の角川シネマ有楽町で行われた。

 この日、撮影でも使用した主人公のフジタこと藤田嗣治を演じたオダギリの等身大マネキンが登場。オダギリは並ぶと、まじまじとマネキンを見詰め「初めて見たんですよ。現場では見てなかったんで。もう2度とこういう格好はしないだろうから、マネキンで残るのはうれしいですね…って何をコメントすればいいんだろう?」と照れ笑いを浮かべた。

 オダギリは、フジタの最後の妻・君代を演じた中谷美紀(39)から「私も(マネキンと)初めてお会いしました。オダギリさん、これはご自宅に持って帰られるんですか?」と質問された。すると、苦笑いしながら「いや…これ、家にあったらまずくないですか? 門番にもならないし、家もばれるし」と、やんわり断った。

 「FOUJITA-フジタ-」は1920年代のフランス・パリと1940年代の日本を生きたフジタを通し、時代と文化の差異を描いた。昨年9月15日に都内で撮影し、1カ月のフランスロケを経て、同12月15日にクランクアップした。初日を迎えたこの日、フランス・パリで同時多発テロが発生し、120人を超える人が亡くなった。小栗監督は舞台あいさつの冒頭に、沈痛な表情で事件について語った。

 「パリで、とても不幸なことが起きました。この映画のキャッチコピーは『パリが愛した日本人、あなたはフジタを知っていますか?』となっています。1920年代と40年代の日本とパリを、フジタを通して描いた作品です。20年代から数えますと、ほぼ100年近く時代がたっていますけれど、欧州はどういう社会なのか、あるいはアジアは欧州と違ってどうなのか…この封切りの初日に、パリのテロを受けて、あらためて私は考えました。もしかしたら、この『FOUJITA-フジタ-』で描いている世界も、14年から振り返って遠い昔のことではないんだと。今に結び付く問題が、この映画の中にもあるんだろうな、ということをあらためて今朝、しみじみと考えました」