東宝の2016年ラインアップ発表会が10日、都内の東宝本社で行われ、新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」が、16年8月に公開されると発表された。

 主人公・立花瀧役を神木隆之介(22)、宮水三葉を上白石萌音(17)が演じることも、併せて発表された。

 新海監督は、02年に個人で製作した短編「ほしのこえ」で監督デビュー。ほぼ全ての製作に自身が携わり、空や水などをはじめ、美意識を追求した映像を作る製作環境にこだわるため、大手とは組まず、アニメ製作会社コミックス・ウェーブ・フィルムに所属し、少数精鋭で独自の創作活動を続けてきた。その中、07年「秒速5センチメートル」は11カ国の字幕付きDVDが世界各国で発売されるなど全世界にファン層を拡大。13年の前作「言の葉の庭」は、ドイツのシュツットガルト国際アニメーション映画祭グランプリを獲得するなど、宮崎駿監督(74)の後継者候補として、細田守監督(48)の後に続く存在として、業界ではその名を知られていた。

 新海監督にとって、メジャーと言われる映画会社と組む、初の大規模公開作品となる。来年夏休み興行の大トリを飾る映画として、スタジオジブリ作品などと同様、300館規模で公開される可能性が高い。「分不相応な舞台を用意してもらった。それにかなうだけの自信作…胸を張って2010年代を代表するアニメになると確信して作っています。ぜひ見届けていただけたら」と意気込んだ。

 「君の名は。」は、山深い田舎町に暮らす女子高生三葉(上白石)が、念願だった東京での生活を満喫する男の子になった夢を見た。一方で、東京の男子高生の瀧(神木)も、山奥の町で自分が女子高生になる夢を見る。そんな出会うことのない2人が出会う、奇跡の物語だ。

 新海監督の、これまでの作品で描かれる男女の恋は、成就しない傾向が強い。そのことを引き合いに、今回の恋愛はどう動くか聞かれた新海監督は、「結ばれるか結ばれないかは、ネタバレになるので言えないが、劇場を出た時に幸せな気持ちであったり、さわやかな気持ちを持ち帰っていただける作品であるとは思います。若い方、年配の方、子供も、こうした感情を味わったことがある、あるいは、これから味わうんだ…とポジティブに持ち帰っていただけるという意味では、安心できる作品だと思います」と語った。