第58回ブルーリボン賞(主催・東京映画記者会=日刊スポーツなど在京スポーツ7紙の映画記者で構成)の授賞式が9日、東京・霞が関のイイノホールで行われた。「駆込み女と駆出し男」で主演男優賞を受賞した大泉洋(42)は「バラエティータレントか役者か分からない、私みたいなものが取れると思っていなかった」と喜んだ。舌の根も乾かぬまま、司会浅野忠信と安藤サクラをいじる“独演会”で会場を沸かせた。

 大トリで登壇した大泉は「(ステージ下の席から)受賞者が1人、2人減り…とんでもなく緊張感が高まった。有村(架純)さんのあいさつを見ながら『以上をもちまして』と終わったらどうしよう、ドッキリじゃないかと怖くなって」と本音を吐露。地元・北海道のバラエティータレントから個性派俳優として認められ、受賞に至るまでの歩みを語り出した。

 人気番組「水曜どうでしょう」が注目され、30歳だった04年に東京進出。「十分に仕事の仲間もいたしバラエティーで評価をもらっていた」。若くして役者を志したなら「全てを捨てて東京で頑張れた」(大泉)だろうが、逆に地元とバラエティーというベースがあったから東京に進出し、のびのび演技できた。「北海道の仲間と仕事しながら役者ができる安心感があったから戦えた。東京の怖い現場でも12年間、気楽に仕事ができた。地元で続けながら大きな仕事をしたい人にはお勧めの方法論かな」。

 主演男、女優賞受賞者は来年の授賞式で司会を務める。安藤から意気込みを聞かれると「ああはなるまい、と思いながら見てました」と突っ込んだ。そして「私がやった途端にバラエティーショーになる。権威ある賞なので重々しくと思っております。目先の笑いを取りに、失礼を申し上げましたが最高の司会でした」と笑い飛ばした。巧みな話術で授賞式を1人で全部持っていった。【村上幸将】