6代桂文枝(72)が18日、大阪市内で約3カ月ぶりに記者会見を開き、元演歌歌手の紫艶(38)との不倫騒動に揺れて破局危機を口にしていた夫人との関係が修復したと明かした。

 この日は、文枝襲名後から毎年7月16日の誕生日に開いている主催落語会の会見だった。今年は「たったひとり会」(同日=大阪・なんばグランド花月)として開催する。文枝初の“ひとり会”だが、私生活では「1人じゃありません」。夫婦関係に絡む質問には、元兵庫県議の野々村竜太郎被告を思わせる耳に手を当てるしぐさで、おどける場面もあった。

 文枝といえば、普段着から色合い、生地のバランスともどもコーディネートに配慮し、高座での着物の着こなしもおしゃれで知られるが、その手配は夫人が行ってきた。

 不倫騒動後の2月26日に高松でイベントに出演した際に「妻が電話に出ない」「着物もいつも妻が用意してくれてパーフェクトなんですけど、今日は貸し衣装」などと話していた。だが今回はどうか? と聞かれると「ははは!」と笑い飛ばし「しっかりと、家内が用意しております」と答えた。

 前々日の高座衣装も共演者から「ほめられた」と言い、関係が修復したのかと聞かれると「修復? ですか? 以前から修復しております。ところどころ、着物のほころびはあるかもしれませんが」。余裕の笑みで返し、関係修復を暗にアピールした。

 さらに、タイトルの「ひとり会」にちなみ「プライベートでは1人じゃない?」と聞かれ「落語のけいこは1人でやりますが、食事とかは2人、もしくは弟子らを含めて3人、6人でやっております」。にんまりとした笑みを携えて話しており、私生活の落ち着きを取り戻しているようだ。

 文枝は2月半ばに紫艶との不倫関係が報じられ、同21日、22日に取材対応し「妻に(離婚を)言われたら、応じないとしようがない」などと夫婦関係の危機を告白。その後は一切取材に応じることはなく、3カ月ぶりの取材の場だった。

 約半年前に撮影したという落語会のポスター写真も「大変気に入っております。いつもは髪のあたりとか、ちょこちょこ修正するんですけど、これはもう、全く無修正です」と自画自賛の言葉も出た。

 12年7月16日の誕生日に三枝から6代文枝を襲名し、翌年の誕生日から落語会を開いている。この日の取材会は毎年恒例の場でもあり、和やかに進行。「少し前までは、落語をするのもしんどいと思う時期もあったけど、なぜか今年に入ったあたりから元気で。落語をやっても疲れんようになったんです」と言い、今年は1人で3席が必要な「ひとり会」にすることにしたという。

 今年は大河ドラマへの出演もあり、文枝は「役者さんは真っ暗なとこで何度もリハーサルをやって、大変な仕事やな、と。そう思うたら、落語家は楽してんのちゃうかと思った」と、役者業が本業へ大いに刺激になったという。

 今回は、今年3月にネタ下ろしした「天国へのメロディー」と、三枝時代に作った「誕生日」の2本の創作に加え、古典の「皿屋敷」をネタ下ろしする。

 「皿屋敷」といえば、昨年3月に亡くなった桂米朝さんが、盟友で今年1月に亡くなった桂春団治さんに教え、春団治さんが代表作にした傑作として知られる。文枝は、春団治さんの弟子の桂春之輔から指導を受け、米朝さんの長男・桂米団治の許可も得て、高座に臨む。

 「創作を一から作るのもおもしろいんですけど、あるもの(古典)をおもしろくするのもまた楽しい」

 昨年から今年にかけ、戦後の上方落語を復興させた上方四天王が相次いで亡くなっており、文枝は「しっかりと上方の財産を次へつないでいくことも大事」と話した。