歌舞伎俳優片岡愛之助(44)と女優藤原紀香(45)が23日、ユネスコの世界遺産に認定されている京都市北区の賀茂別雷(かもわけいかづち)神社(通称・上賀茂神社)で挙式した。事前に報じられたこともあり、一般客約600人が詰め掛けた。2人は平安風挙式で人気の「細殿(ほそどの)」ではなく、国宝の「本殿」を使っての結婚式になった。

 心配された天候も雲の合間から晴れ間がのぞき、朱色の相合い傘が太陽に照らされた。「雨女」を自認する紀香は“晴れ”の日を祝福されると、両手のひらを上に向け「ほんとに!」と笑みをこぼした。

 挙式を終え、帰り際には愛之助が「感謝しています」。境内に集まった園児たちからも「おめでとう」と声がかかり、2人も手を振った。

 2人が、挙式場所に選んだのは通称「上賀茂神社」。同神社によると、京都市内にある無数の神社の中でも最古。本殿は国宝で、94年にユネスコ世界遺産に認定された。愛之助、紀香はともに、以前、別々に同神社へ参拝。「由緒ある所で(挙式を)したくて、探していた。(同神社は)世界遺産でもあり、雰囲気がとても気に入った」などと話していたという。

 愛之助にはもともと、28日の都内での披露宴とは別に、京都で挙式したい意向が強かった。81年、13代目片岡仁左衛門の部屋子となり、京都・南座で片岡千代丸を名乗り、初舞台。この日夜、ブログにも「歌舞伎俳優として産声を上げたのは京都」と、こだわった理由をあげた。

 京都の神社の中でも、同神社では、平安時代の建物を思わせる「細殿」を使った平安風挙式が人気で、紀香も気に入ったようだ。ただ、報道陣約80人、一般客約600人が集まったため、祈りの儀(式)は「細殿」ではなく、国宝の「本殿」に。同神社は「大勢の方がいらしたので、本殿に変更した」と説明した。

 式には片岡秀太郎、紀香の両親ら、親族約20人が出席。紀香は京都の友禅作家で、長嶋茂雄夫妻らの婚礼衣装も手がけた秋山章氏による白無垢(むく)に、角隠し姿だった。2人は秋山氏と、念入りに相談。衣装は「愛と香」をイメージして作られ、うちかけはパール箔(はく)に金が添えられていた。【村上久美子】

 ◆賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ=通称・上賀茂神社)京都市内でも最古の神社で、本殿は国宝。94年にユネスコ世界遺産。公式ホームページによると、挙式料金は10万円。厄よけの守護神がまつられ、春は桜の名所。境内の「片岡社」は女性の守護神で、紫式部が通ったという話も伝わり、縁結びスポットとしても人気が高い。また、近隣の下鴨神社には、同神社の「母親の神」がまつられ、愛之助は今年、紀香は数年前に、葵祭で下鴨神社の「社頭の儀」に参列した。