宝塚歌劇の雪組公演「私立探偵ケイレブ・ハント」新人公演が25日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、6年目男役、永久輝(とわき)せあが3度目のセンターに立った。

 昨年1月「ルパン三世」、今年春の「るろうに剣心」に続き、3回目の新人公演主演だけに自己評価は辛口。「本番で初めて抱いた感情を舞台の上で処理できなかったので、自己採点は60点です」と、まずは反省点を口にした。

 美形ルックスに加え、若手ながら奥行きを感じさせる芝居心への評価が高い永久輝。宝塚大劇場で11月7日まで続く本公演でも、主演のトップ早霧せいなふんする探偵ケイレブが、信頼を寄せる刑事(彩凪翔)の相棒を演じている。

 新人公演では、本役のトップ早霧の芝居運びを間近で学び「早霧さんからは『自分がやりたいことをやればいい。自分が考えるケイレブが、本物だから』と言われました」と明かした。

 新人公演は、本公演中に1日だけ入団7年目までの若手だけで上演されるもので、一発勝負の舞台。無我夢中で走り抜ける新人も多い中、3度目主演の永久輝は、舞台で新たな感覚を覚え、戸惑ったという。

 それは「(相手娘役ヒロインが演じた)イヴォンヌとのからみで、動揺したり、心が動いたりした」ことだった。役柄へ入り込んだがゆえ、実際に自分の感情が動くことを実感した。

 今回、その戸惑いから自らに「60点」と厳しい評価を下したが、一方では「この感情(の動き)が本物だとすれば、東京(での新人公演)で生かせると思う」と、大きな手ごたえもつかんでいた。

 また、相手娘役ヒロインは、永久輝より1学年下の星南(せいな)のぞみが務めた。星南は「こんなに難しい役は初めてでした。ずっと迷って、迷って、不安で、不安で。本番でも焦って、焦って…。課題ばかりが見つかりました」と言い、主人公の探偵への愛と自立に触れる女心の表現に苦しんだという。

 とはいえ、永久輝とは「ルパン三世」新人公演でも相手役を務めており、全幅の信頼を寄せているだけに、永久輝から「大丈夫だよ」と言われ、安堵(あんど)の笑みを浮かべていた。

 東京宝塚劇場での新人公演は12月8日。