故夏目雅子さん、故田中好子さんをおばに持つ宝塚歌劇団の月組男役、3年目の風間柚乃(かざま・ゆの)が17日、兵庫・宝塚大劇場で行われた新人公演「グランドホテル」で、準主役となる余命少ない会計士・オットー役に臨んだ。

 「グランドホテル」は93年、涼風真世の退団公演として初演。風間の今回の役どころは、当時のトップ涼風が演じた主人公でもあった。病に冒され、死を目前にした難役だったが、心情の機微をセリフの抑揚や動き、表情でうまく表現し、大役を見事にこなした。

 今回、30日まで宝塚大劇場で上演されている本公演は、9年目の若き新トップ珠城(たまき)りょうの本拠地お披露目作。男役らしいたたずまいが魅力の珠城にあわせ、主人公を初演の余命少ない会計士から、借金に苦しむ男爵に変更された。風間がお手本とした本役は、スリムな人気スター、美弥(みや)るりかが演じている。

 その本公演に、風間は労働者役で出演し、美弥らの演技を学び、吸収してきた。今回、主人公の男爵役は、7年目で新人公演ラストチャンスだった夢奈瑠音(ゆめな・るね)が、新人初主演。風間は、4年先輩の夢奈と2人でからみ、酒に酔って上機嫌で踊る“見せ場”の場面もある。

 終演後に取材に応じた夢奈は「風間とはステップの踏み方はもちろん、芝居では(心を)こう持っていこうなどと、しっかり話し合いました」と言い、風間も先輩に懸命に従い、練習に励んできたようだ。

 風間は14年、宝塚音楽学校を卒業し、100期生として入団。父がプロゴルファーの小達敏昭で、伯母に故夏目雅子さん、義伯母に故田中好子さんがいる。

 おば譲りの美貌、華やかな立ち姿は宝塚音楽学校時代から注目され、学校時代の文化祭では演劇の主演も務めた。月組に配属され、歌、ダンスのレッスンも地道に重ね、7年目以内が出演する新人公演では、3年目ながら主要キャストをつかんだ。

 東京宝塚劇場の新人公演は3月9日。