子どもの頃、扇風機に向かって、あるいは喉仏を軽くたたきながら「ワレワレハウチュウジン」とやった覚えがある。特撮映画「地球防衛軍」(57年)の中に原型があると言われるが、世代的には「ウルトラマン」の影響だと思う。
25日公開のアニメ「我々は宇宙人」は、そんな少年時代の記憶を呼び覚まし、ほろ苦い思い出と重なって、胸がチクチクした。
とある地方の町。小学3年の翼は、何かとちょっかいを出してくる暁太郎と親友になる。粗雑な行動は時にしゃくに障るが、常に明るい暁太郎は憎めない。日々、行動をともにし、2人だけの遊びに興じていく。ともに気になる同級生、小夏の存在もあった。
が、あることをきっかけに暁太郎はクラスで浮いた存在となり、翼も距離を置くようになる。
時を経て、高校、大学を出た翼は、当たり前のようにスーツを着た社会人になるが、その間、暁太郎はまったく別の人生を歩んでいた-。
メガホンを取ったのは、これが長編デビューとなる門脇康平監督。YOASOBIの「優しい彗星(すいせい)」のミュージックビデオを撮った人だ。
時にリアルに時に風景画のような背景でノスタルジーをくすぐりながら、デッサンの筆遣いを残した独特の表情描写で少年の気持ちがジワッと染みる。「一生に一本のつもりで撮った」本気の思いが確かに伝わってくる。
監督兼任の脚本がていねいに書き込まれているからだろう。登場人物には、そんなヤツいたなあと級友の顔が重なる。心もきれいな女神のような小夏に、はぐれ者だがマイペースで地に足の着いた感じのバタ原もいる。
声の担当は翼に坂東龍汰、暁太郎に岡山天音、小夏に櫻坂46の山崎天、バタ原に松井ケムリ。劇中の姿はまるで映したようにそれぞれの外見が重なって見える。
渾身(こんしん)の一作には5年かかったというが、次回作はもっと早く見たい。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




