芥川賞作家でミュージシャンの辻仁成(57)の2年ぶり9作目の監督作品となる、松岡充(45)主演の映画「TOKYOデシベル」(5月20日公開)の完成披露試写会が15日、都内で行われた。

 エグゼクティブプロデューサーを務める、辻の所属事務所タイタンの太田光代社長(52)が舞台あいさつに出席。「そもそもは、爆笑問題の太田光が映画監督になりたいと芸能界に入ってきた。それで、関連の映画会社を作った。辻さんと縁があって、所属になってもらって、才能のある人で『映画会社があるなら撮りたい』と。本来なら、太田光が監督をやるはずだったのに、もたもたしてるから辻さんが第1号になった」と笑った。

 辻監督について「芥川賞をとってから知って、本もたくさん読んでいた。どんな気取った人が来るのかと思っていたら、おやじギャグ連発で明るい。うちはめんどくさいタレントが寄っててくるので、そういう意味ではうちにピッタリ」。

 松岡以外にも安倍なつみ、安達祐実、坂上忍、山中秀樹、長井秀和が出演。「監督のイメージに合った人に、ダメ元で頭を下げに行った。みなさん快諾してくれた」と話した。

 今後の映画制作については「元々、太田光さんに監督をやってもらうために作った。作ってもらわないと困るけど、だれが監督ということではなく作っていきたい」と話した。

 原作は95年に発表され、三島由紀夫賞の候補になった辻自身の小説「音の地図」(「TOKYOデシベル」に改題)。東京の音の地図を作ろうという壮大な夢を持つ大学教授(松岡)と、その恋人、謎の女、娘がおりなす不協和音の世界を描く。