東京・明治座で上演中の「細雪」が3月4日の初日で上演回数1500回を達成し、記録を伸ばしている。ミュージカルを除く商業演劇の演目としては2100回を超える「放浪記」に次ぐ記録だろう。「放浪記」は故森光子さんは2017回、亡くなった後に継承した仲間由紀恵が約100回上演している。

 「細雪」は大阪・船場の商家の4姉妹を主人公にした谷崎潤一郎の同名小説の舞台化で、1966年に初演された。その後、出演者を変えながら、上演を重ねた。長女役は淀かほる、岡田茉莉子、淡島千景、佐久間良子、大空真弓、高橋恵子、次女役は乙羽信子、新珠三千代、八千草薫、池内淳子、山本陽子、三女役は司葉子、多岐川裕美、遥くらら、沢口靖子、紺野美沙子、檀れい、四女役は浜木綿子、桜田淳子、熊谷真実、南野陽子、中越典子、大和悠河らが演じてきた。

 今回は前回の次女役から長女役に変わった賀来千香子、三女役から次女になった水野真紀、そして初参加の紫吹淳が三女役、壮一帆が四女役で出演している。ともに宝塚歌劇出身だが、歴代の出演者を見ても、淡島、乙羽、新珠、八千草、遥、檀、浜、大和と宝塚OGが多い。関係者は「船場のお嬢さんの品を出せる女優となると、どうしても宝塚出身の女優が多くなる」と話す。

 以前の大劇場では女優が主役の商業演劇が多く、団体客や女性客を集めていた。しかし、今はミュージカルが主流となっている。四季ごとに変わるあでやかな着物姿に満開の桜と、和テイストの見どころの多い「細雪」のような舞台は貴重な存在で、長く続いてほしいと思う。