ベテラン俳優北村総一朗(81)が劇団Page2「ふくろう」(4月17~23日、東京・大山のPit昴)で演出に初挑戦する。

 04年に公開された新藤兼人監督の同名映画の舞台化で、北村は演出と上演台本を担当する。東北の「希望ケ丘開拓村」で9体の白骨死体が見つかり、村に残った母娘と死体は関係があるのか。背景には敗戦後、満州から逃げ帰った満蒙開拓団の悲惨な歴史があった。

 北村は「映画を見て衝撃を受けた。戦争への怒りをよみがえらせ、風化しつつある戦争の陰にある人々の苦難や悲しみを現代に問いかけるべきと思った。新藤さんは90歳でメガホンをとった。僕も80歳をすぎて、明日は分からないけど、舞台でやろうと思った。重いテーマをブラックユーモアに包んでやりたい」。

 出演は所属する劇団昴の中堅・若手が中心となる。「これまで先輩や優秀な演出家に教わったことを、後輩に伝えたい」。13年に前立腺がんが判明し、出演予定の舞台を降板。全摘出手術を受け、翌14年に復帰した。「ステージ4と言われ、3回手術した。2カ月おきに定期健診を受け、体調もいい。これから演出したい作品もあるが、この舞台をしっかりやって、次につなげたい」。【林尚之】