女優桜井日奈子(20)の変身ぶりに驚いた。先日、出演舞台「それいゆ」の公開通し稽古前、囲み取材をしたときのこと。桜井は共演者たちから、稽古中のエピソードを明かされた。なんでも「鬼教官」と呼ばれているのだという。

 稽古では、「日奈子式トレーニング」なるものが日課になっていたという。桜井が声を出しながら手足を素早く動かし、他の参加者がその動きをまねする、頭の体操のような準備運動。報道陣から実演をお願いされた桜井は、元気に声を張り上げながらキビキビと体を動かし、登壇者たちをほんろうした。元気な年ごろの女の子の姿だった。

 桜井を初めて取材したのは、ちょうど去年の今ごろ、地元岡山県のPRイベントに登壇したときだった。まだ右も左も分からない様子で、目をキョロキョロと泳がせていたのが、初々しくて印象的だった。イベント後の囲み取材で、TVクルーの録音機材が目の前にズラリと置かれると、不安そうに顔見知りのスタッフを探し、驚いて肩をすぼめながら後ずさりするほどだった。

 当時は岡山から上京したばかりで、「まだ渋谷にも行ったことがないんです。かわいい洋服とか見て回りたいです…」と、蚊のなくような声で話していたことが懐かしい。その後、公の場に出てくると緊張でガチガチなことが多かったが、今や「鬼教官」と呼ばれるまでに。1年もたつと、人って変わるもんだなあ…。

 その美貌から、桜井は早々に「岡山の奇跡」という重いキャッチコピーを付けられた。デビュー当初はその看板に押しつぶされないか心配したが、1年たって自信満々に人前に立つ姿を見ると、それも取り越し苦労だったと胸をなで下ろした。