日向坂46が18日、千葉・幕張メッセでクリスマスライブを開催し、来年12月6、7に初の東京ドーム公演を2日間行うことを発表した。「シングルデビュー2年目での東京ドーム」と表記すると早いようにも見えるが、結成からは5年目となる。厳しさも苦しさも味わった上での夢の大舞台到達に、喜びを爆発させた。

16年5月に、けやき坂46(ひらがなけやき)として結成。欅坂46の2軍グループ的存在で、メディア露出はほとんどなかった。1カ月間、仕事が1つもない時期もあった。ほとんどのメンバーは、アイドルになった実感もなかったという。欅坂46のシングルリリースに合わせて、多少の活動がある程度だった。

欅坂46のライブの一部に出演しながら、17年3月からは単独での全国ツアーがスタート。見た人を幸せにする「ハッピーオーラ」が、グループの個性として磨かれていった。1期生の加藤史帆(21)は以前、取材の中で「ひらがな時代の全国ツアーで、違う会場に同じ人が来てくださったりしたんです。心が折れそうになった時も助けられました。その感謝は絶対に忘れません!」と語っている。

常に未来への不安と隣り合わせだったが、17年8月には現センターの小坂菜緒(17)ら2期生も加わり、着実にパワーアップ。昨年2月に開催された東京・日本武道館公演で、初の単独アルバムリリース決定がサプライズ発表された。メンバーたちは崩れ落ち、抱き合い、ぼろぼろと泣いた。

同年6月「走り出す瞬間」でアルバムリリース後も、欅坂46のシングル表題曲の選抜メンバーには入ることなかった。音楽関係者の中では、「十分に単独グループとしてシングルデビューする力がある」という声があがっていた。高いバラエティー番組適性も評価されはじめ、独特のセンスを持つ3期生上村ひなの(15)が加入し、新たな個性も加わった。

機は熟した。今年2月、欅坂46からの事実上の独立となる「改名」が発表された。同3月に「キュン」でシングルデビュー。破竹の勢いで活躍を続けた。

テレビ局や出版社関係者の間でも、日向坂46は「特に礼儀正しい」と評判だ。けやき坂46時代から、「必ずあいさつからしっかりしよう」とスタッフからたたき込まれた。顔見知りの関係者やライターが相手でも、仕事が始まるたびに丁寧に自己紹介する。これは、デビュー後も変わることがない。地道な努力が、NHK紅白歌合戦や、東京ドームまでグループを押し上げた。

結成当時の苦労や、デビューまでの下積み経験、そして、人気アイドルの仲間入りを果たしても変わらぬ謙虚な姿勢。理想的とも言えるステップアップの背景には、さまざまな要素があった。

クリスマスライブでキャプテン佐々木久美(23)は「この大好きなメンバーと、大好きなおひさまの皆さんと、そしていつも支えてくださっている皆さん…」と声を詰まらせた後、「感謝の気持ちを忘れずに、これからもみんなで突っ走っていこうね!」と呼びかけ、メンバーたちが「はい!」と答えた。2020年も、その先も。感謝を胸に日向坂46が描く成長曲線に注目だ。【横山慧】