確執が取りざたされる英王室のウィリアム王子(39)とヘンリー王子(36)兄弟が1日、英ロンドンのケンジントン宮殿で行われた亡き母ダイアナ元妃の生誕60周年を記念した銅像の除幕式にそろって出席した。

ヘンリー王子が昨年3月に王室を離脱して以降、兄ウィリアム王子とともに公の場に姿を見せたのは今年4月に執り行われた祖父フィリップ殿下の葬儀以来2度目。妻のメーガン妃とともに米カリフォルニア州で暮らすヘンリー王子は先月末、除幕式に出席するために第2子を出産したばかりの妻と2人の子供を米国に残して単身で帰国していた。

1997年にパリで事故死したダイアナ元妃が生きていればこの日で60歳を迎えるはずだったことから、兄弟は2017年にダイアナ元妃が生前こよなく愛したケンジントン宮殿の庭園サンクン・ガーデンに銅像を設置する計画を発表していた。

しかし、18年にヘンリー王子が結婚した頃から兄弟仲は悪くなり、離脱後に米国のテレビインタビューで王室批判を繰り広げたことから2人の関係は修復不能なほど悪化。最近では事務的なこと以外ほとんど会話をしていないと伝えられていた。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で除幕式は規模を縮小して行われた。元妃の弟スペンサー伯爵らごく少数の限られた関係者のみ出席し、元夫で兄弟の父でもあるチャールズ皇太子やウィリアム王子の妻キャサリン妃らも出席を見合わせた。

そんな中、久しぶりに顔を合わせた兄弟は、母をたたえて共同で設置された銅像の除幕を行い、バラやラベンダー、チューリップなどが新たに植えられた庭園を並んで歩きながら笑顔で談笑する姿も見られた。

フィリップ殿下の葬儀ではカメラの見えない場所でチャールズ皇太子を交えて話し合いを行ったものの和解には至らなかったと伝えられていた2人だが、この日は母のために表面上は円満を装うのではないかと報じられていた。

除幕式後は、SNSに銅像を見つめるスーツ姿の兄弟の後ろ姿の写真を公開し、共同で声明を発表。「私たちは母の60歳の誕生日であったはずの今日、母の愛の強さと人柄を覚えています。母は世界中の善のための力となり、数えきれない人々の生活を向上させた」としのび、「毎日、今も母が私たちと共にいてくれていたらと願っています。私たちの望みは、この銅像が母の人生と遺産を象徴するものとして永遠に愛され続けることです」とコメントしている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)