タカラジェンヌを養成する兵庫県宝塚市の宝塚音楽学校で29日午前、102期生の合格発表があり、実業家で元モデル君島十和子さん(47)の長女憂樹(ゆうき)さん(16)ら40人が、憧れの舞台へ向け1歩を踏み出した。

 憂樹さんは身長170センチと長身で、手足が長く男役志望。4歳で宝塚を初観劇し、タカラジェンヌを目指し、バレエを習ってきた。「夢がかなってうれしい。昨年は悔しい思いをしたので…」と、涙で声を詰まらせた。

 今年は昨年に続き、2年連続の挑戦。昨年来の100周年報道で、受験者数は昨年より184人多い1065人。競争率は約26・6倍と狭き門となったが、夢へ続く悲願の切符をゲットした。目標のスターには「宝塚らしい男役になりたい」と答え、涙でぬれた瞳を輝かせた。

 この日は母の十和子さん、父の誉幸(旧名・明)さん(49)も姿を見せ、十和子さんは「100年の歴史を汚さないように努力してほしい」。十和子さん自身も以前、タカラジェンヌにあこがれていたが、受験はできず、モデルとして活動した。ファンとして、宝塚を追いかけ、とりわけ元トップ春野寿美礼が好きだったという。十和子さんは「私の夢を娘がかなえてくれました」。何度もハンカチで目元をぬぐいながら笑顔を見せた。

 母子は前日から宝塚入り。誉幸さんはこの日朝、宝塚へ到着したといい「娘は16歳で、人より早く人生の目標を見つけた」。昨年、不合格だったことで、今回はレッスンを強化して臨んだ娘を思い「2年間(音楽学校で)精進して、立派な舞台人、社会人になってほしい」と期待を寄せた。

 誉幸さんによると、憂樹さんの祖父にあたる故君島一郎さんは、憂樹さんの誕生前に亡くなっているが「孫を宝塚に入れるのが夢だ」と話していたという。

 憂樹さんら40人は、早速、寮の見学や制服の採寸。今年100周年となる宝塚歌劇団へは、音楽学校での2年の授業を経て、卒業した者だけが入団できる。2年間、バレエや日本舞踊、歌の指導のほか、礼儀作法も学ぶ。入学式は4月19日に行われる。