人間国宝桂米朝(88)の長男で、落語家の桂米団治(55)が23日、大阪市内で、毎年夏恒例の「桂米団治独演会」(7月13日、大阪・サンケイホールブリーゼ)取材会を開き、独自の斬新な健康法を明かした。

 「米団治になって6回目の独演会。毎年、新しいネタにチャレンジしてきましたが、今年は完成形を見てもらいたい」と言い、今年は新ネタを下ろさず、持ちネタから3席選んだ。

 小米朝時代から演じている「稽古屋」「地獄八景亡者戯」と、「子は鎹」の3席。「地獄-」は1時間超の大ネタだが、サッカー少年だった米団治は、W杯で盛り上がるサッカーにならって「45分の短縮版に仕立てたい」とも話す。

 「なんとなく、今年はいつもと気持ちが違う…」。端正な顔立ちを照れ笑いで崩した米団治だが、その背景には何が…?

 父の米朝が唱えてきた「55歳死亡説」があった。

 米朝は、自身の父や、ネタのけいこをつけてもらった先代米団治らが「数え、満の違いはあってもみな、55歳で亡くなっている」と、息子の米団治にも、そう伝えてきた。米朝自身も55歳のとき、原因不明の黄疸(おうだん)などに悩まされ、3カ月入院していただけに、息子の米団治は「ほんまに55歳で死ぬんか…」と覚悟したこともあった。

 それだけに、自分が55歳になった今年は、心境が例年とは違うようだ。とはいえ、健康管理を問うと「健康診断は行かない。なんかあったときだけ、血液検査をしてもらう。健康法はコーラと塩とクエン酸」との持論を展開した。

 米団治によると、10年ほど前から、昔の日本人の食事にならい「おかず(=タンパク質)を減らして、おかゆに塩を好きなだけかけて、梅干しで食べる」食事を理想としてきた。

 塩分過多など、どこ吹く風。塩は「おいしいと感じるまで使う」のだ。米団治には、糖分、塩分、クエン酸を摂取することで、健康が保てるとの信念がある。

 おかゆが一番-とはいえ、それがかなわない場合には「コーラ(ブドウ糖)に塩(塩分)と、クエン酸スティックを入れて飲む」のが基本。このため「コーラは1日2リットル飲む」そうだ。

 体に良いのか、悪いのか-謎は残るものの、米団治流健康理論にも、少なくとも一理はある。炭水化物を主食としてきた日本人は、糖分の分解能力にたけているとされ、一方で、脂肪分の分解は欧米人に比べて弱いというデータもある。

 塩分(ナトリウム)は生命維持に欠かせず、クエン酸は疲労回復にも効くと言われ「コーラに塩、クエン酸」は、一考の価値があるかもしれない。

 ただし、今年11月の誕生日で89歳を迎える米朝はいまだに肉も食しているが…。いずれにせよ、米団治は独自の健康法で気力も充実しているようで「今年の独演会は、55歳の節目で、ひとつの完成形をお見せしたい。今の米団治のすべてを見てもらえると思う」と話していた。