第38回モントリオール世界映画祭で「そこのみにて光輝く」でグランプリに次ぐ最優秀監督賞に輝いた呉美保(オミポ)監督(37)が3日、都内で受賞会見を開いた。会場では記念の花束が渡された。
この日帰国した呉監督には、数えられないほどの祝福メッセージが届いていた。「あらためて受賞したんだと実感した」と話した。
自ら「自主映画みたい作品」と表現するほど、同作は企画の段階から資金集めに苦労した。「奇跡のように出来た作品が、映画祭に出られて、受賞に結び付いた。奇跡の連続」と喜んだ。
同映画祭では、受賞作品が、英語やフランス語でとんとん拍子で発表される。「そこのみにて光輝く」の名前が呼ばれた瞬間は「聞き逃した」といい、苦笑いした。隣に座っていた女優池脇千鶴(32)が「あっ」と叫んでいるのを見て、気が付いたと明かした。
同作では生きる目的を失った男と、社会の底辺で生きる女の運命的な出会いを、北海道・函館の夏を舞台に描いた。原作は芥川賞に5度もノミネートされたが、89年に41歳で自らこの世を去った作家佐藤泰志の小説。トロフィーも、同氏の墓に持って行ってから、函館にある文学館の同氏のコーナーに寄贈する意向を示した。
現在は来年公開予定の映画「きみはいい子」を製作中。「いろんな家族を描く群像劇。社会的な問題を描いている」と話した。今後については「これからも変わらず、やりたいと思える作品を作りたい。とっ散らかった作品をやりたいな」と力を込めた。
日本関連の同賞受賞は、97年の市川準監督、09年の根岸吉太郎監督に次いで3人目。




