デビュー10周年を迎えた女優田中麗奈(28)が舞台に初挑戦する。人気脚本家で小説家の向田邦子さん(享年51)の傑作短編集「思い出トランプ」(10月10日開幕、東京・青山円形劇場)の初舞台化で主演を務める。デビュー以来活動の軸を映画に置き、今年初めて連続ドラマに本格初挑戦したばかり。初舞台については「役者としても人としても成長できる場を与えていただいたことにとても感謝しています」と話した。

 「思い出トランプ」は80年発表の短編集。同年に直木賞を受賞した「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」の3編を含む全13編が集められている。今回の舞台は「大根の月」に登場する女性をヒロインに、「かわうそ」「だらだら坂」などの作品の要素を取り入れた異色の構成。

 脚本、演出は「劇団ONEOR8」の田村孝裕氏(32)が手掛ける。同氏は田中を「どんな時代のどんな人間でもセリフを自分のものにし、芝居にうそがない稀有(けう)な役者」と高評価した上で起用を決めた。田中も「とにかく舞台に臨むんだ、向田邦子さんの作品を体験でき、お客さんの反応を生で感じられるんだと思うと、今から楽しみでなりません」と張り切っている。

 向田さんは来年生誕80年を迎え、来年末までさまざまなイベントなどが企画されており、同舞台はそのオープニング作品。向田さんの直木賞受賞年に生まれた田中にとっても縁を感じる舞台となりそうだ。