覚せい剤取締法違反(所持、使用)で起訴された女優酒井法子被告(38)と夫で自称プロサーファー高相祐一被告(41)が別荘として使用していた千葉県勝浦市の住宅で20日未明、火災が発生し、ほぼ全焼した。夫婦が逮捕されて以降は住人はおらず火の気もないことから、千葉県警勝浦署では放火の可能性もあるとして出火原因を調べている。別荘は、高相被告が覚せい剤を所持していたとされ起訴された事件の舞台で、「ピンクのドラッグハウス」などと呼ばれ最近では見物人が集まっていた。

 「のりピー事件」の舞台の1つが焼け落ちた。火災は巡回中のパトカーが発見した。午前4時11分に消防本部に通報され、約1時間後に消し止められたが、木造平屋建て約100平方メートルを焼き、ほぼ全焼した。中央部分が激しく焼け、火柱は屋根を突き破るほどだった。柱など残った部分もあるが、建物としての再生は不可能だという。

 契約者の高相被告は8月3日に逮捕、たびたび訪れていた酒井被告も8月8日に逮捕され住人はいない。警察、消防ともに、放火の可能性があるとして捜査している。19日夕から夜にかけて、隣の鴨川市や君津市で無人の別荘の火事が3件相次いでおり、連続放火の疑いもある。

 勝浦署などの調べによると、出火したのは火の気がない和室付近。玄関の鍵はこじ開けられたように壊されていた。前日、玄関に異常はなかったという。簡易検査では、灯油やガソリンなどを使った形跡はなかった。一年中エアコンが動いていたので漏電の可能性もあったが、2人が逮捕されてからはエアコンも止まり、電気系統からの出火ではないようだ。近所の住人によると、18日までに数回、品川ナンバーの車などで男性らが訪れ、荷物が運び出された。

 別荘は高相被告が5年前に契約し、家賃は10万円。しかし、捜査関係者によると7~9月分は滞納されたままだった。高相被告が別荘前の駐車場を契約していないにもかかわらず駐車するため、家主に注意されることもたびたびあったという。9月9日には料金滞納で水道が止められ、数日後に支払いが確認されるなど、ルーズな面もあった。焼け残った玄関には、公共料金の請求書らしき紙がはさまっていた。

 道路をはさんですぐに部原(へばら)海岸に行けることから、高相夫婦はサーフィンの拠点にしていた。夫婦が別居中も、近所の飲食店で一家が食事する姿も目撃されていた。高相被告の逮捕前日の8月2日にも、立ち寄ったとみられる。

 8月中旬に覚せい剤や吸引用ストローが押収された。ピンクの外壁から、地元サーファーに「のりピーのピンクのドラッグハウス」と呼ばれ、「いつもお香のようなにおいがしていた」「高相被告が奇声を上げていた」などという情報も次々に出てきた。

 夏休み中には、県内外の車が次々と止まり記念撮影する様子も見られ、玄関には意味不明の「BLES」と落書きされた。和歌山毒物カレー事件の被告(当時)自宅が放火され全焼されたという例もあり、警察ではパトロールを強化していた。

 [2009年9月21日8時59分

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