お笑いコンビ次長課長の河本準一(37)が25日、東京・新宿の吉本興業本社で会見し、母親(65)が生活保護を受給していたことを明らかにした。受給は約15年前からで、今年4月まで続いたという。自分が一定の収入を得るようになってからも、母親が受給を続けていたことに道義的に認識が甘かったと目を潤ませながら謝罪。一定期間分の受給金を返還する意向を明かした。

 河本は、約33分間に及んだ会見で時折声を詰まらせ目を潤ませた。終始立ち続け、冒頭で約17秒、最後に約20秒、頭を下げた。「大変ご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした」。受給については「事実でございます」と認めた。

 この問題は4月12日に「女性セブン」が「高年収人気芸人の母に生活保護不正受給疑惑」と匿名で報じて表面化。その後、片山さつき参院議員が実名を挙げ、厚労省担当者に調査依頼したとブログで公表。所属事務所よしもとクリエイティブ・エージェンシーが「不正受給のそしりを受ける違法行為は存在しない」と見解を示し騒動に発展した。

 沈黙を守ってきた河本はこの日、事情を説明し、虚偽申告を含む不正は明確に否定した。しかし一定の高収入を得るようになった後も、受給を継続したことは「福祉(事務所)の方ときっちり相談し、了解を得ていたので、ずっと正しいと思っていたが、自分の認識の甘さ(があった)。むちゃくちゃ甘い考えだった。深く反省しております」と釈明。「情けないと思ってます。道義的に人としてまだまだ未熟者だなと実感しました」と続けた。

 母親は河本が9歳の時に離婚し、地元岡山で生活している。14~15年前、病気のため医師から働くことを止められ、これを機に自分で生活保護受給を決めたという。当時の河本の年収は100万円未満。河本は福祉事務所に母親の面倒をみることができないと伝え、受給が始まった。収入が増えた5~6年前、福祉事務所と話し合い、母親を援助すると初めて通知。今年1月から援助額も増額したという。それでも「いつ仕事がなくなってもおかしくない不安に陥っていた。(すい炎など)数回長期的な病気も患い、『芸人保険』もないのでパニックになった」と仕事への不安が背景にあったと説明した。問題が表面化した4月から、母親は自分で受給を打ち切ったという。

 河本は「税金を負担している皆さんに申し訳ない。助けていただいた分のお金をきちんとお返ししたい」と5~6年前からの受給分を返還する考えを示した。年収の具体額や、ほかの親族の生活状況などは明かさなかった。

 07年に母との生活をつづった著書「一人二役」を出版。出演番組でもたびたび「オカン」をネタにしてきた。関係者によると、母親は約3カ月前、脳梗塞を患ったという。

 ◆生活保護

 受給条件として親族から援助を受けられないことが規定されている。民法でも、子供は両親が困窮した場合、扶養義務があると規定。生活保護法でも親族の扶養義務を優先している。だが、支給する現場は親族の収入まで把握できないのが現状だ。「親族については戸籍で存在は確認できるものの、経済状況を調べたり、援助を求める要請はできない」(東京都台東区の福祉部保護課)。生活保護は、本人か親族が申請し、資産や収入を申告。これに基づいて年金や保険、預貯金、土地などの資産を調査し、14日以内に決定する。