大ヒット曲「また逢う日まで」などで知られる歌手尾崎紀世彦(おざき・きよひこ)さんが5月31日午前0時5分、肝臓がんのため東京都港区の病院で亡くなった。69歳だった。<おくやみコメント>

 ◆尾崎紀世彦さんと同じころデビューした歌手研ナオコ(58)

 私の大好きな友達が亡くなりました。とても優しい方でおしゃれ。彼の歌は誰もまねできない。素晴らしい歌手でした。残念で仕方ないです。

 ◆98年に尾崎さんの歌声を題材にした舞台「昨日たちの旋律」を作った三宅裕司(61)

 「THE

 夜もヒッパレ」で尾崎さんの生の歌声を聞いて、あまりの素晴らしさに尾崎さんの歌声を題材にした芝居を作り、ご本人にも出演していただきました。本当に残念です。

 ◆タレント中山秀征(44)

 尾崎さんとは(司会した)「THE夜もヒッパレ」の時、大変お世話になりました。収録時、いっさい手を抜かない姿勢に、プロの歌手のすごさを感じると同時に、尾崎さん流に歌うかっこよさに感動しました。バイクに革ジャン姿が、今も目に焼き付いています。

 ◆音楽評論家富沢一誠氏

 歌い手として、日本人離れしたダイナミックな歌い方、大きな歌唱力がすごかった。彼がすごいのは、「また逢う日まで」を大ヒットさせたこと。彼がいなかったらヒットしていなかったと思う。この歌は当時、作詞家の阿久悠さんが、時代のマニフェストソングとして出した。阿久さんは、新しい、1970年代の男と女のあるべき姿をこの歌に託した。それを歌えるのは、日本的な、ちまちました、せこい男じゃダメだった。ダイナミックな歌唱で堂々と、明日に向かって歌い上げるようなボーカリストが必要とされていた。それに見事に彼はこたえた。彼がいなかったら、なかった歌だった。

 ◆音楽評論家反畑誠一氏

 デビュー前にライブハウスでカントリーをカバーしていたころから、歌のうまさには定評があった。Jポップという言葉もなく、ポップスといえば海外から入ってくるものと思われていた時代。パワフルな歌唱力で「また逢う日まで」を歌い上げ、欧米と肩を並べるような日本の正統派ポップスという世界に夢を与えてくれた。大人の歌い手が求められている今、円熟味が増した歌声をもっともっと聴かせてほしかった。