お家騒動に揺れる演歌歌手小林幸子(58)の新曲が、シンガー・ソングライターさだまさし(60)の作詞、作曲で10月にリリースされることが10日、分かった。4月に個人事務所「幸子プロモーション」の女性社長らを解任した騒動が発覚する前から、「お兄ちゃん」と慕ってきたさだに来年のデビュー50周年記念曲を依頼していた。その楽曲を先取りして、心機一転の新曲として発売する。騒動の影響で苦境にあった小林には光明と言えそうだ。

 小林からさだへの楽曲依頼はお家騒動が発覚する前で、「幸子プロモーション」がさだ側に直接、行っていた。今年8月に老舗レコード会社日本コロムビアと契約を解除した小林は、6月6日に同社から発売予定だった新曲「絆坂」を原盤権の問題で使えなくなったが、さだが小林に用意していたデビュー50周年の記念曲は権利関係の問題はなく、小林が使用できた。

 日本コロムビアの後ろ盾を失い、作家陣への新たな作品依頼もスムーズにいかなくなった小林側は当初、自ら作詞、作曲した新曲を自主レーベルから10月に発売する予定だった。小林の関係者は「さださんの記念曲は素晴らしい作品。小林も一生懸命、作詞、作曲していたが、その差は歴然だった。心機一転の作品として、さださんの曲を発売させていただくことにした」と話した。現在、プロモーションビデオ制作など詰めの作業が行われており、10月新譜として発売される。25日以降に記者会見して発表される。

 1993年(平5)にさだが自作曲「約束」を小林に提供して以来、小林はさだを「お兄ちゃん」と親しみを込めて呼んできた。夫の医療関係会社社長の林明男氏も、結婚前に紹介。騒動渦中の4月10日に、さだのデビュー40周年記念誕生日ライブが行われた際には、小林もステージに上がった。その際、さだは「頑張ろうな。応援しているヤツはいっぱいいる。よくぞ(騒動の)最中に駆けつけてくれました。ありがとう」と激励。小林は感極まり涙した。

 新曲は演歌ではなく、幸子の50年間をつづったスケール感のある作品という。記念曲として準備されたタイトルがそのまま使用されるかは未定だが、小林にとっては心強い助っ人と言えそうだ。