食道がんのため都内で入院中の歌舞伎俳優中村勘三郎(57)に、肺に新たな疾患が見つかり、治療中であることが13日、分かった。松竹と所属事務所が文書で公表した。関係者によると肺水腫とみられ、復帰も来年4月以降にずれ込むという。文書によると、7月27日に行われた約11時間の食道がん摘出手術は無事終了し、順調に回復した。しかしその後、肺に疾患が生じ、現在は治療に専念しているという。当初は来年2月に博多座で行われる長男6代目中村勘九郎の襲名披露興行で復帰予定だったが、休演を決めた。

 肺の新たな疾患について松竹側は明らかにしていない。関係者によると、肺にがんが転移したり、新たに見つかったのではなく、肺水腫だという。食道がんは順調に回復したが、新たな疾患で、完治までに時間がかかるという。

 勘三郎は今年6月1日に初期の食道がんと公表後、温泉治療をへて都内の病院に入院。7月27日に手術を受け、翌28日には集中治療室で20メートル歩くなど驚異的な回復ぶりが伝えられ、復帰に向けてリハビリを行っていた。しかし、手術から3カ月以上経過しても退院せず、勘三郎の家族や関係者も「リハビリ中です」「大丈夫です」と多くを語らないことから、病状が心配されていた。

 勘三郎は、来年4月に開場する歌舞伎座の舞台で復帰を目指して新たな病との闘いに入った。

 ◆肺水腫

 肺の気管支や肺胞に、血液の液体成分が過度に染み出した状態をいう。通常なら染み出した量と同じ分の水分は元に戻るが、何らかの理由で染み出す量が多くなると、低酸素血症で呼吸障害が起きる。ひどくなると、ピンクや赤いたんが出て、生命の危険もある。利尿薬の使用で改善されることもある。